第69話 訊けばいいんじゃない?
文字数 1,586文字
天上に向かったというスタシアナたちは無事だろうかとクアトロは思っていた。スタシアナもエリンにしても元々は天使だったとは言え、今は彼らと相反する立場にいる。それが知られて捕らえられてしまえば、無事では済まないのではないだろうか。
ましてやスタシアナは天上に向かう前に、数名の天使を魔法で消し去ってしまったと聞いている。そのことだけでもスタシアナが捕まれば、無事に済むとは考えられなかった。
「スタシアナさんたちはきっと大丈夫です。トルネオさんも一緒だと聞いていますから」
クアトロの思いを知ってか、アストリアがクアトロにそう言った。
そうは言っても、あの面白おっさん骸骨が役に立つとは思えなかった。それに、そもそもの話として天使と不死者は何かと相性が悪いはずなのだ。
しかし、そう心配ばかりしていても何かが好転するわけでもないので、クアトロはその考えを頭から振り払った。そして、ヴァンエディオに赤色の瞳を向けた。
「で、ヴァンエディオ、これからどうするつもりだ?」
「そうですね。おそらく天使や魔人はこの神殿に集まってくるでしょう……」
「どういうことだ?」
「ここは以前にアストリア様が捕らえられていた神殿です。ならば、この神殿でアストリア様を捕らえる必要があったとも考えられるのではないでしょうか」
「その理屈は分からないでもないが……で、ここにやって来た天使や魔人をどうするんだ?」
エネギオスがそう口を挟んできた。
「偉そうに威張ってる奴を捕まえて、何でアストリアを必要としているのか訊けばいいんじゃない?」
マルネロが、ふふんといった感じで言う。細い顎も得意げに少し上を向いてるかもしれない。
「どうやって捕まえるんだ? 捕まえるとなれば、マルネロみたいに何でもかんでも燃やす訳にはいかないんだぞ」
マルネロの無計画ぶりにクアトロがそう反論する。
「はあ? 何でそこで私の名前が出てくるのよ? そんなの私たちがいれば何とかなるわよ」
まあ何とかなるとはクアトロもそう思うが、やはりそれでは余りに無計画過ぎるのではなかろうか。クアトロはそう思いながらヴァンエディオに視線を向けた。
「天使や魔人は我々がここにいることを知らないかと思います。ならば、先の戦場に現れたような大軍がこの神殿に集まることはないかと」
「それはそうかもしれないが、相手は天使と魔人だ。例え数人でも厄介だぞ?」
エネギオスが溜息混じりで言う。
「厄介なだけで私たちが敵わない訳じゃないでしょう? それこそエネギオスが頑張る所じゃない。四将の筆頭なんだしね」
マルネロの言葉にエネギオスがさらに溜息を吐き出しながら口を開いた。
「十や二十なら問題ないかもしれないが、それ以上となると余裕でといった訳にはいかなくなるぞ」
渋い顔をしながらエネギオスがそう言うのも当然だとクアトロも思う。
天使や魔人と言えば上位眷属なのだ。いくら個人差があるとは言っても、基本的な能力は魔族や人族よりも遥かに高いはずだ。
「エネギオスさん、そう心配しなくても大丈夫ですよ」
いつも慎重なはずのヴァンエディオが珍しく楽観的なことを言い始めた。
「四将のうち、三人がここにいます。そして魔族の王であるクアトロ様も。さらに古代種のドラゴンまでいますからね。魔人や天使の百や二百は問題ではないですね」
ヴァンエディオが言うのであればそんなものなのだろうかとも思う。だが……。
「なあ、アストリア。この古代種のドラゴン、俺たちと戦ってくれるのか?」
「い、いえ、訊いてみないと……ですが、どうなの……でしょうね……?」
アストリアが困ったような顔で言う。
まあいずれにせよとクアトロは思う。天使か魔人の偉そうな奴を捕まえれば、なぜ彼らがアストリアを欲しているのかも分かるかもしれなかった。理由が分かれば対処できることも増えるはずだ。そう考えるクアトロだった。
ましてやスタシアナは天上に向かう前に、数名の天使を魔法で消し去ってしまったと聞いている。そのことだけでもスタシアナが捕まれば、無事に済むとは考えられなかった。
「スタシアナさんたちはきっと大丈夫です。トルネオさんも一緒だと聞いていますから」
クアトロの思いを知ってか、アストリアがクアトロにそう言った。
そうは言っても、あの面白おっさん骸骨が役に立つとは思えなかった。それに、そもそもの話として天使と不死者は何かと相性が悪いはずなのだ。
しかし、そう心配ばかりしていても何かが好転するわけでもないので、クアトロはその考えを頭から振り払った。そして、ヴァンエディオに赤色の瞳を向けた。
「で、ヴァンエディオ、これからどうするつもりだ?」
「そうですね。おそらく天使や魔人はこの神殿に集まってくるでしょう……」
「どういうことだ?」
「ここは以前にアストリア様が捕らえられていた神殿です。ならば、この神殿でアストリア様を捕らえる必要があったとも考えられるのではないでしょうか」
「その理屈は分からないでもないが……で、ここにやって来た天使や魔人をどうするんだ?」
エネギオスがそう口を挟んできた。
「偉そうに威張ってる奴を捕まえて、何でアストリアを必要としているのか訊けばいいんじゃない?」
マルネロが、ふふんといった感じで言う。細い顎も得意げに少し上を向いてるかもしれない。
「どうやって捕まえるんだ? 捕まえるとなれば、マルネロみたいに何でもかんでも燃やす訳にはいかないんだぞ」
マルネロの無計画ぶりにクアトロがそう反論する。
「はあ? 何でそこで私の名前が出てくるのよ? そんなの私たちがいれば何とかなるわよ」
まあ何とかなるとはクアトロもそう思うが、やはりそれでは余りに無計画過ぎるのではなかろうか。クアトロはそう思いながらヴァンエディオに視線を向けた。
「天使や魔人は我々がここにいることを知らないかと思います。ならば、先の戦場に現れたような大軍がこの神殿に集まることはないかと」
「それはそうかもしれないが、相手は天使と魔人だ。例え数人でも厄介だぞ?」
エネギオスが溜息混じりで言う。
「厄介なだけで私たちが敵わない訳じゃないでしょう? それこそエネギオスが頑張る所じゃない。四将の筆頭なんだしね」
マルネロの言葉にエネギオスがさらに溜息を吐き出しながら口を開いた。
「十や二十なら問題ないかもしれないが、それ以上となると余裕でといった訳にはいかなくなるぞ」
渋い顔をしながらエネギオスがそう言うのも当然だとクアトロも思う。
天使や魔人と言えば上位眷属なのだ。いくら個人差があるとは言っても、基本的な能力は魔族や人族よりも遥かに高いはずだ。
「エネギオスさん、そう心配しなくても大丈夫ですよ」
いつも慎重なはずのヴァンエディオが珍しく楽観的なことを言い始めた。
「四将のうち、三人がここにいます。そして魔族の王であるクアトロ様も。さらに古代種のドラゴンまでいますからね。魔人や天使の百や二百は問題ではないですね」
ヴァンエディオが言うのであればそんなものなのだろうかとも思う。だが……。
「なあ、アストリア。この古代種のドラゴン、俺たちと戦ってくれるのか?」
「い、いえ、訊いてみないと……ですが、どうなの……でしょうね……?」
アストリアが困ったような顔で言う。
まあいずれにせよとクアトロは思う。天使か魔人の偉そうな奴を捕まえれば、なぜ彼らがアストリアを欲しているのかも分かるかもしれなかった。理由が分かれば対処できることも増えるはずだ。そう考えるクアトロだった。