14. 小氷期

文字数 249文字


 狐の親子が雪原を歩いていた。
 凍りついた河を渡り、氷河に呑み込まれないように、慎重に道を選んだ。

 わずかに獲れた葡萄(ぶどう)は、小さいうえに酸っぱかった。
 暗い太陽のもと、いつも体を寄せ合っていた。

 狐の親子が草原を歩いていた。
 流れの速い運河を渡り、深い谷間を進んでいった。

 豊富に実った葡萄は、甘く汁が弾けた。
 光輝く太陽のもと、子狐は元気に走り回っていた。

 太陽が弱かった時代がある。冷え切った地球を懸命に生き抜いた者達がいる。
 彼等の子孫が、私達だ。

 同じ未来が訪れないと、断言できる者はいない。
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