25. プーカ

文字数 311文字


 男が牝馬(ひんば)に乗って旅していた。
 牝馬が仔馬(こうま)を産み、仔馬はすぐに歩き始めたが、よろめいて倒れた。

 男は仔馬を見捨て旅立とうとしたが、仔馬が言うには、
「いま、あなたが手を差し伸べてくだされば、将来、私はあなたを背中に乗せるのに」

 男は納得して、仔馬の成長を待つことにした。
 旅を中断し、帰路につく。

 一部始終を見ていたプーカが、男をからかってやろうと、仔馬に変化して現れた。
「乗せてあげるよ! そんな仔馬捨てて、一緒に旅に出かけよう!」

 男は界隈(かいわい)の重鎮の如く呟く。
「短絡的に物事を考えては損と、いま学んだばかりだ。最良の選択は、お前も連れて、三匹とも連れ帰ることだろう。さあ、おいで」

 プーカはつまらなくなって、ぱっと消えた。
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