5. 単純接触効果

文字数 223文字


 羊の群れに、狼がついてきた。
 羊飼いは初め警戒していたが、何日もただ追ってくるばかりで、狼は何もしてこなかった。

 餌をやってみれば鼻先で匂いを()ぎ、無警戒に口にふくむものだから、狼も愛らしいものだと(うな)っていた。

 羊飼いはすっかり狼に心を許し、羊を残して町に出かけた。
 戻れば、羊が皆引き裂かれていた。

「慣れ親しめば好きになる。だからといって、狼に羊の番をさせるなんて」

 長く傍にいたというだけで肯定し、物事を受け入れる者に、この話は適用できる。
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