124. 楽器の音色

文字数 274文字


 湖面に、一粒落ちる。
 波立つ。

 湖面に、二粒落ちる。
 波立つ。
 重なる。

 湖面に、同時刻、たくさんの純音が落ちる。
 弾ける。
 粒重なり合い、複合音となる。

 ハープのラとなる。

 別の湖面に、同時刻、いっぱいの純音が落ちる。
 ピアノのラとなる。

 どうして同じ周波数、同じラでも、楽器ごとに音色が違うの?
 純音の粒粒が、違う数、弾け飛ぶから。

 純音、重なりて。複合音、掛け合わせて。
 ハーモニー、指揮のもとに(つど)いて。
 メロディが流れて。

 音楽となる。
 楽しい音の集まりとなる。

 粒粒が喜ばしげに弾み舞うさまは、空気みたいだ。
 空気を吸って、生きていく。
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