62. 創造神話 現代版

文字数 318文字


 子どもは考え続ける。
「たった一点のゼロから始まったなんて、単純過ぎるかな」
「大爆発のような『バン』なんて大きな音、本当に起こったわけじゃない」
「それ以前は? マルチバース? 収縮に転じたわけは?」

 同じ志を抱いた子どもが集まり、互いに問い続ける。
 子どもは分別を身に着け、老いさらばえ、死んでいく。
 ……思いだけを残して。

 残った思いを引き継ぎ、また一人、同じ志を抱いた子どもがやって来る。

 そうして何年、何十年、何百年が経過しただろうか?
 思いは積まれ、殺し合い、手を取り合い、新たな神話が始まる。

 神様に教わった物語ではない。
 子ども達が科学のメスで切開した、大いなる歴史――。

 その日その時まで、子ども達は、思いをつないでいく。
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