72. 流星雨

文字数 214文字


 冬の日、凍てつく夜空のもと、頑なに寒風がまとわりつく。
 田舎道、旅館まで数十メートル。
 街灯はない。

 流星雨が地上に降り注ぐ。
 放射状に広がり、世界が回る。絶え間なく。
 光の軌跡は天球でかき消え、僕らの肌を濡らすことはない。
 美しい。

 例えばいま背後に、拳銃を持った男がいたとして、その美にどんな価値がある。
 雨に目が(くら)んで、男が拳銃を落とすとでも言うのか。
 ――落とす。

 野暮は止そう。
 きれいなものは、きれいだから、尊い。
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