第38話 ワタシハ・ワタシハ。

文字数 804文字

 わたしは

を相手にしている。
 したがって、わたしの作品には終わりがない。
 わたしは、今になど、眼中にない。
 わたしの作品、および人生が

しないのは、そのためであって、一向に構わない。
 わたしは永遠に流転を続ける── 針でつついたような小穴になど、構ってはいられないのだ。
 わたしは流転を続ける── わたしの中を、外を。そうして、わたしはわたしを超えていく。

 わたしは、けっして一ヵ所にとどまらない。
 わたしは車輪である。馬に

車輪でなく──

つながれた車輪なのだ。
 この円環、巡環、ぐるぐると回るさまを見よ── それは私であって私ではない。私は、永遠からの使者なのだ。
 永遠が、私の身を仮りているだけなのだ。
 私は、私であって私でない。
 私は、永遠

魅入られたものである。
 でなければ、でなければ── どうして私に、あの深淵を見続ける勇気と根気を有し得よう?
 私は、悪魔か天使に、魅入られたものである。だが、私にとっては同じことだ。
 それらも、極小のコメ粒にすぎない。
 足のない、手もなき「刈る者」によって刈られ── また植われ── の円環のなかの、ひとつの

にすぎない。
 私の生も、この円環の、時期のひとつにすぎない。
 ああ、この永遠を知っている者はどこにある?
 喰われてしまったのか、喰われてしまったのか。
 この巡環、めぐりめく輪、この永遠の輪が、今も、この瞬間に回っている── この霊妙な、目に見えぬいのちの息吹を──

ものはどこにいる?

 自らつくった怪物に、喰われてしまったのか?
 おお、取り戻せ、おのれを取り戻せ。
 

を取り戻せ。
 そして── 何も言わず、見ていよう。
 何も言わず、見ていよう。
 そして、感じていよう。感じていよう、あの眼に見えぬ粒子が── おまえの目前を通りすぎるのを。
 すぐ、目の前を通りすぎるのを。
 そうして── 泣こう。一緒に、泣こう。
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