第56話 うつわ
文字数 437文字
「死んだ人は、どこへ行くのだろう?」
「どこにも行かない。ただ死体として、あるだけさ」
「ってことは、…何なんだ、いのち、って」
「たましい、とか? モノ、っていう身体に、備わっているモノ」
「生きている身体は、きっと、モノではない」
「そうだ」
「死んで、モノになる」
「うん」
「どこへ行くんだろう。その、身体に宿っていた、身体のなかに、あったモノは」
「うふふ。そりゃあ、死んでからのお楽しみだな。生きてるあいだ、できるだけ楽しんで、死んだあとは、それからのことだ。つねに、今ある、今あるということを、受け容れていくしかない。自分自身が、一つの容器なのだから」
「みんな、がんばってるよな」
「うん、みんな、がんばってる」
「いろんな人が、いろんな場所で」
「いろんな人が、いろんな場所で」
「おい、オウム返しするなよ」
「ごめんごめん。まだ、学んでいる途中なんだ」
「言葉を?」
「いや」
「何を学んでるんだい」
「この世界、ぜんたいをだ。一つのことから、いろんなことを、学んでいかなきゃ、いけないんだ」
「どこにも行かない。ただ死体として、あるだけさ」
「ってことは、…何なんだ、いのち、って」
「たましい、とか? モノ、っていう身体に、備わっているモノ」
「生きている身体は、きっと、モノではない」
「そうだ」
「死んで、モノになる」
「うん」
「どこへ行くんだろう。その、身体に宿っていた、身体のなかに、あったモノは」
「うふふ。そりゃあ、死んでからのお楽しみだな。生きてるあいだ、できるだけ楽しんで、死んだあとは、それからのことだ。つねに、今ある、今あるということを、受け容れていくしかない。自分自身が、一つの容器なのだから」
「みんな、がんばってるよな」
「うん、みんな、がんばってる」
「いろんな人が、いろんな場所で」
「いろんな人が、いろんな場所で」
「おい、オウム返しするなよ」
「ごめんごめん。まだ、学んでいる途中なんだ」
「言葉を?」
「いや」
「何を学んでるんだい」
「この世界、ぜんたいをだ。一つのことから、いろんなことを、学んでいかなきゃ、いけないんだ」