第2話 ナセル氏の進言

文字数 1,058文字

わたしは上から物を言う。
特に意味はない。
意味は、それを見る者が勝手につければよい。
わたしはただ思ったことを言う
感知し、わたしの中で培養し、粗目の

にかけて
網に残った小石だけを書記する
だから必然、わたしの体勢は上からになる

この中に残った物は、少数だ。
多くの砂、土が下へ落下する、大量の
それらは、おのれが大量の中にあることに満足する
上に残った物は、別世界と判断し、見向きもしない。
かれらは言う、「この大多数が世を動かしている」と。
「この多数に埋もれているうちは安全だ」と。

ひとりでは何もできない臆病者
まわりに目ばかりやって、自分の芯を見向きもしないキャベツ
かれらは言う、「大多数の内にあれば安全だ」
一体、いつの時代の話だろう
もう、集団で狩猟するマンモスの時代は終わっているのに
まだ個人より全体だとするものが多すぎる

なんだ、このバナナが壊れた形をしている島国は
「自由、民主!」など、たわけたことばかりがなり立て
駅前で、何を叫んでいるのだ

飛び出た一個のクギは打ち倒し
集まった矮小なクギにほくそ笑み
国による教育、公教育はクギの性質を知ろうともせず
「右へならえ、前へならえ」を繰り返す
かれらは怖いのだ、ならわぬクギが飛び出ることが
たなびかない、新しい、強固な出っ張りが怖いのだ

そして死刑制度!
わたしは、この野蛮な制度の廃止を強く望むものだ
先進国、西欧諸国に比べてしまえば、こんな制度がまだ生き残っていること自体が驚きである。
かれらは言う、「あなただって、あなたの愛する者が殺されたら、犯人を殺したいと思うでしょう」
笑止。わたしは、憎しみは、憎しみをもって報えないことを知っている。
わたしは言う、「社会と個人は違います。個人的には思うことありますが、それと社会は別ものです。社会が、なぜこのような罪を生んだのか。この罪に対し、どう、繰り返されぬよう、生かしていくのか。それは社会──ことに、それを公的に判断する位置にある人のしごとだと思います。また、同時に、このような犯罪を生んだ社会、この社会に属するわたし自身の責任ともとらえます」

「HA! 主体的、能動的に始動する足を、もぎ抜かれた者どもに、そんな詭弁は通用しないよ。長いものには、巻かれろよ。ひとりじゃ、生きても行けないくせに」
「そのために、書いているんだよ。くだらない集団生活に毒され、足をもがれる前に、個であった自分へ回帰するために。きみも、生命の

にかけられ、この世に残った選ばれし者なら、自己へ還るために、限られた時間、貴重な時間を無駄にせず、書くがいいよ」
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