第6話 共反者

文字数 458文字

これほど多くの人がありながら
共感を求めて尽きないほど
淋しい人が多いのだろうか

「わかる」の意味もわかろうとせず

と躍起になって
一体何を求めているのか

「そんなに共感されたいか」彼が言う

彼は恥じる、共感を求める自分を恥じる
 
個人的な、あまりにも個人的な存在になった人間は
もはや社会的な存在ではなくなった

これはひとつの理想郷
自分のことだけを考えて
「何が悪い」と言えるほどの理想郷
その土台は埋立地

ああ、この地に支配された人間は
同様の人間を仕立て上げる
汚れた空気は汚れた人間を生み
でっち上げられた仮居に住まう人間が
プレハブ仕立ての言葉と映像ばかりつくっている

「いいね!」を配布され
広告会社に踊らされる


この仕事を理想とするほど
この世は自己顕示欲者に溢れたよ

「もともと、人間は我欲の塊。いいではないか」
「表現者は自分が第一。いいではないか」
そう言って、口髭を生やした著作家が
まだら牛の町と、彼の山を行き来した

大いなる正午の次ページは
落丁本かと思われるほど
未来を、読者に委ねる形で
彼の魂は121年間、動きを止めたままだ
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