第37話 気になった言葉から

文字数 812文字

「ただ一人への愛は、一種の野蛮である。何となれば、それは他のすべての者の犠牲において、行われるゆえに。神への愛も、またしかり。」(ニーチェ「善悪の彼岸」箴言と間奏曲)

 

や、貢物、人柱などによって、世界を成り立たせてはならない。
 ひと昔前、「あの戦争で、戦った人たちがある。かれらのおかげで、今、平和な世界がある」とのたまう人たちがいた。冗談ではない。かれらは

のだ。殺した権力者どもが、どんな心で、どのツラ下げて、かれらを英霊と奉り、崇め、敬礼し、手を合わせているのか。
 ああ、今も、根本的に変わらない。隣りの国は金銭に幅を利かせ、捏造のみに身を走らせる。
 捏造が、世界の創造に乗っ取られている!
 つくられた神に身を寄せるな!

 神は、一神にはない。その身、一人一人の、一身にあるのだ。掘れ、掘れ、その身に潜在する神の正体を暴け。
 一人一人の神、おのが身におのが光をあて、つまびやかに明晰にせよ。
 一人一人の自己探求── あまりにおろそかにされた、この身の深淵への探求! すぐここにある深淵への探求!
 流されるな、流されるな。
 ごまかすな。
 ごまかすことに、慣れるな!
 薄っぺらい地に迎合したその身は、薄っぺらな胸をつくる── 薄っぺらな世界をつくる。
 一人一人の自律した神が、まざりあって… あいての言うことを

として全身で受け止め、わがみの言うことが、わがみのこととして受け止められるようになる── 成熟した世界、われらが

にしない世界の入り口に立てる。
  まず、おまえ自身の神に向かえ。その身の深淵に、足を踏み入れよ。一人一人が、自律した神であれ。
 創造する世界へ、まず、足を。その一歩を。
 つくり絵の神の犠牲になるな。おまえ、おまえ自身が存在し、存在するこの世界に、おまえを

に捧げるな。
 そうして初めて── 神々が

、野蛮な愛、いけにえのない世界が。
 その入り口が。
 
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