第58話 荘子よ

文字数 444文字

 あなたがホントにいたのかどうか、わからない。
 いや、いた。
 そして死と生を、同列に考えよ、と云った。

 生ばかりを重んじて、死を軽んじるな、と。
 あなたは、戦国時代の狂乱の中で、正も不正もない、まことのものは一つだ、と。

 荘子よ、いまも
 あなたの考えは、まるで不毛のままだよ

 生にばかり執着して
 死は、疎んじられる

 生きることばかりが
 生きることばかりが、イイんだって

 生きることばかりが、イイんだってサ

 「朝に、道を知れば
  夕に死すとも、可なり」

 でも、道を知ろうとする人も
 そんな、いなくなったみたいだよ

 イイ時代なんだよ

 自分の関心のあることだけ、関心寄せて
 あとは、知らん顔
 自分のことだけ、ホントに考えてりゃいいんだ
 
 素晴らしい時代が訪れたんだよ

 荘子よ
 あなたと一緒に遊びたいなあ

 蝶と戯れ 魚を釣って
 風になびいて
 陽光にほんわかして
 落葉を踏んで
 雷雨におびえて

 あなたと一緒にいたいなあ

 ひとりなんだけどネ

 あなたも、わたしも
 ひとりどうし
 なんだけどネ

 一緒に、サ
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