第68話

文字数 575文字

 ── もともと、現実離れしていた、とは言えるね。
 そうだねえ…。「教育」みたいなことでも、たぶん多くの人は、「学校の中を」どうにかしようとしてきただろうし、脱学校、なんて考えは、何いってるの? だったろうね。それは今も変わらない。
 でも、学校化された社会から脱していこう、って考えは、ぼくは今でも、キョーイクみたいなところ、ヒトの考える頭のなかに、必要な思想だと思っているよ。
 ── しかし、全然だね。むしろ、前よりこのセカイ、おかしくなっていないかね。
 おかしくない世界なんてなかったよ。でも、あまりに統一されている気がする。ほんと、ドングリの背比べだよ。無意識のうちに、スポイルされているみたいだ。
 ── ネットでニュースや情報をかき集めて、それを見て何だか知ったような気になっている。

 今起きていることが逐一流されて、その流れにまた流されて。
 ああ、流されて、流されて。
 天下泰平の世なんてなかったけれど、人がこんなに下を向いている時代も、なかったろうね。

 よく真夏に校庭で体育やらされて、熱中症になる子ども達がいるけれど、教師ってバカなのかね。何がそうさせるのかね。こんな暑い中でやったら、と、想像して考えることもできないのかね。

 ── ねえ、きみ自身、この頃、頭がおかしくなっていないかね。

 うふふ。バレたか。

 ── とっくにバレてるよ。
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