第27話 本棚から

文字数 407文字

「生きるとは?」を突き詰めていった人たちが遺した言葉。
 真理を言った人。まず、ブッダが思い浮かぶ。
 ブッダ、ソクラテス、荘子、ニーチェ…
 ふいに、本棚にひっそりといる高野悦子、「二十歳の原点」を手に取る。
「独りであること、未熟であること。これが私の二十歳の原点である。」
「私は慣らされる人間ではなく、創造する人間になりたい。『高野悦子』自身になりたい。」
 そう書いた半年後に、彼女は鉄道自殺してしまった。その死から、もう50年以上が経つ。

「テレビ、新聞、週刊誌、あらゆるものが、

人間にしようとする」── そのような人間に、私はなりたくない、と彼女は言った。
 今は、どうだろう? 慣らされ切った人間ばかりが、驢馬のように蠢いている? むしろ

慣らされようとしている? そこに、多くの小馬が集まっているから、自分もそこの一員になろうと?

 独りであること、未熟であることは、人間の原点だったよ、高野さん…
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