第22話 荘子とニーチェ

文字数 346文字

 漱石が異常な関心を示し、吟味熟読したという「ツァラトゥストラ」。
 ツァラトゥストラは言う、「足を地に着けず、逆立ちして行くのがいい」──
「重さ」への否定。
「超えて行け、超えて行け」の超人思想に疲れた時、荘子の「無為自然」がなんと大きな慰めになるだろう。
 荘子とニーチェ。この二人の思想は、ほとんど人間離れしている。何も思わず、何も考えず、自分を忘れ、何の意識もなくして、ただ枯れ木のように在ればよい、という荘子。かたや、人間ひとりひとりに内在する自己に目覚め、自己の真実から生きよ、というニーチェ。
 静と動。剛と柔。水と火。
 その向こう側、こっち側に、接点が。和合する一致点、ほのかに、あり。

 生の哲学。
 理性だの学問だの、
 そんなものでない
 事実、ここに生き、
 存在すること
 

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