飛んで火にいるなんとやら ~赤江悠馬~

文字数 545文字

青野家主催で行われた卒業パーティから帰ってくると、美奈先生から鬼のように留守電が入っていた。九件中八件(一件は大学から)。怒っているようでもあり、焦っているようでもある。
また電話が鳴る。
「高校生のくせに、こんな時間にまでどこほっつき歩いてるのよ」
開口一番、ヒステリックな声。いつまで教師のつもりなのか…。多少イラっと。
「ミーナ先生。大丈夫ですか? 安堂先生に体育倉庫で襲われてレイプされたって、卒業式で噂になってましたけど」
やんわりいうと多少は冷静になったのか、怒りで言葉をうしなったのか、黙り込む。
「至急、会って話しておきたいことがあるの」
「東京でサッカーの試合なんで、火曜の夕方まで京都におらんのですけど」
「今からで、いいわ」
「明日早いんで、もう横になりたいんですけど」
「写真はまだここにあるわ、あなたたちにされたこと警察に訴えても良いのよ」
「・・・」
「話はすぐに終わるわ?」
「そうですか。ほな近くの茶店まで、来てもうてもええですか?」
「喫茶店はだめ。今からそっちにいくわ。ご両親は東京住まいが中心で、一人で離れに住んでるそうやない」
「わかりました」
「30分くらいで着くから」
そう言って、ガチャリと一方的に電話は切られた。
ちょっと飲みすぎでハイになってたけど、スーッと酔いがさめていく。
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