なんや知らん、蒼白い焔がふつふつたってきた ~西條看護主任~

文字数 2,066文字

白いもんが、頭の上の方で動いたような気がして顔を上げると、鏡に映った自分の姿でした。特別室の大きな姿見に、ブルーの一本線の入った白い看護帽が覆いかぶさるようにして裸の若い男性患者のおちんちんを吸って、いじってるんが目に入ります。なんとまぁ、淫靡な看護婦もののポルノ映画そのもんです。
昔はおじさんの教授らによう見せられました。こないなつくりもんの何が面白いんやら、白けながらも、きゃあきゃあ言うて恥ずかしがったげるんもお約束です。でも、上半身だけやと寝たきりの患者さんを、親身になって清拭看護しているようにも見えます。
どれくらい、そうしてたでしょうか。チュッとしたときにはビクッ、ビクッと動いて、このまま血液が流入してすぐにでも膨張するような気配やったんですが、鏡越しに見えるそれは難産で生まれたハダカネズミの赤ん坊のようで、ピクリともしません。
痛覚、温覚などの一般的な皮膚感覚ではなく、性的な感覚だけに反応するとの推測は、まちごうてたということでしょうか。いやいや、佐久間といっしょに清拭してたときは、性器いうより凶器かとおもうくらいに勃起してましたし、最後はピュッ、ピュッって力強うに何回も白いのを間欠泉のように、ちから強うに吹き出してました。
それとも、年上の三十路の女には興奮せんということでしょうか。「若い子の方がよかったですか?」と、冗談めかせていうたんが本音、図星やったと言うんでしょうか。それであないドキッとしたような顔しはったんでしょうか。安堂さんは、そんなこと口にしはらへんでしょうけど、昏睡状態でも若い身体やないと反応せえへん、同じ年の佐久間やないと興奮せんのかと思うと、そっちのほうが面白うありません。

なんや知らん、ふつふつした青白い焔が立ってきました。
ワンピーススタイルのナース服のボタンを一番下まで外し、靴を脱いでベッドの上に膝から乗り上がります。そのまま左右に広げて、素肌が密着するように添い寝をして身体を合わせます。うちのストッキングはガーターで止めてるので、太ももがねっちょりとひっつきます。膝を曲げてストッキングの裏側で挟むようにして、ふやけたおチンチン扱いてあげます。
「佐久間なんかより、うちの方がもっと、もっとええ気持ちにさせてあげますよって…」
耳元でささやきながら、後ろ手にホックを外し、安堂さんの右手をとって、ほわりと浮いたブラの中にグリグリと揉み込むようにして胸に沿わせます。
「ほらほら、遠慮のう、もっとつように弄うてください」
右の手を二つの身体で挟み込むようにして固定すると、左手をとって下着の中に滑り込ませ、お臍からウエストにそって指先からショーツの中にゆっくりと入れていくと、ジョリジョリと下の毛がすれる音が頭の中に響きます。
ざらざらした骨太の中指の指頭が割れ目につき、外陰部、小陰唇の前部にある敏感な陰核に触ると、ほこほこして触らんでもそこから先の割れた部分が濡れぼそっているのがわかります。足がピンと延びて、おまたに挟み込んだ指の腹を強く押し付けていきます。
「あっ、うぐぅ」
唇を重ねるようにして声が出るのを防ぎ、唾液を吸い取るように舌を絡ませます。
これまで何人か男の人とセックスしましたけど、いっつも向こうさんがうちを喜ばそうと一生懸命に頑張らはるばっかりで、自分からこんなんしたんははじめてです。
(いや、華ちゃんとの時は、こんな感じやったかもしれん…)
「んっ?」
思わず、唇を離して安堂さんの顔を凝視します。
「安堂さん?」
淫らな姿のまま、看護婦の声で話しかけますが、覚醒している気配はありません。
でも、いま確かに舌を絡めてキスを返してきました。ここで起きられたらどないしよ…と思いつつ、ゆっくり肩を揺らしますが、やはりその気配はありません。でも左手でこね回してたペニスが、水道の蛇口に突っ込んだ水風船のように急に膨らんでくるんがわかります。胸に置いてた指にも力が入り始めています。
「うっ…」
滑り込ませていた左の指も、クリトリスを押し返してきます。耐えられんようになって腰を浮かすと、下着の中で立ち上った指がぬめりと一緒に付いてきて、そのまま深うにまでずぶずぶと中に沈みます。
「あはぁ~」
うえ向いているんは第二関節だけですから、奥までは入ってきません。でもくちゅくちゅ入口で焦らすような感じがなんとも気持ちいい…。さっきまでふにゃふにゃやったもんも、指周りがとどかんくらいかちこちになってます。心臓の拍動とは違うリズムでどっく、どっくと、まだまだ血液が流れ込んでくる勢いを感じます。
こんな気持ち、恍惚感に包まれるんは、ほんまにいつぶりでしょうか。少なくとも男はんと肌合わしてゾクゾクなるんは初めてのことです。なんや愛しいなって、もう一回、ほわっとやさしいに唇を合わせます。
「おおきに安堂さん、やっぱり、うちのほうがええ気持ちですやろ~」
何も返事はしはりませんが、ようわかってはるようです。
そない急がんでいかいでも、まんだ、たっぷりとようけ時間はあります。
「本番は、こっからですよぉ」
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