安堂さんの家に月に一度の訪問看護 ~佐久間看護婦~

文字数 2,102文字

もう一つは、安堂さんのことです。
あの後、鈴本主任の提案で、もう一度脳波の精密検査やMRIの検査をしました。
やはり、主任にも「安堂さんは本当に昏睡状態にあるのか」「覚醒しているのに、眠ったふりをしているだけではないか」という不安というか、疑念があったのではないかと思います。でも、やはり二度目の検査でも昏睡中の脳波に変化なく、強くゆすったり、叩いたりしても覚醒はありませんでした。やはり、この脳波では意識的に動くということはあり得ないということです。あの日、あんなことしたなんてドクターにも婦長にも言えませんが、性的本能というか、生理的欲求に対してのみ反応・感応するということです。
これも主任の提案で、昏睡する時間帯(午後二時から四時頃)に、喫茶室に行ってもらったり、屋上を散歩してもらったり、長期入院の子供たちに「算数ま面白はなし」してもらったりしたのですが、その時には症状は現れませんでした。そのため、それほど日常生活に影響を及ぼすことはないのではないか、入院しているよりも在宅の方が症状は改善するのではないかという結論になり、退院が決まりました。
ただ、まだわからないことが多く、このまま医療管理ストップと言うのも危険だし、かといって、他の病気のように通院だけでは意味がないということで、月に一度、自宅に看護婦が伺って、症状の確認をすることになりました。女性一人で男性患者さんの家に行くのは良くない…という声もでて、なぜ、そうなったのかと思うくらい、とんとん拍子で主任と私の二人が担当をすることになりました。

安堂さんのご自宅は、上京区の京町屋の並ぶ一角、病院から京都御所を挟んでちょうど反対側の烏丸通の向こうになります。お一人暮らしで、玄関土間の横に一〇畳間が二つ、その奥に八畳間が一つ縦に並ぶ、俗に「ウナギの寝床」と呼ばれる縦長の京町屋で、上品な坪庭と本がたくさんある学者さんの家という感じです。
いつも一時に私服に着替えて病院をでて、お宅につくのは一時半過ぎ。雨の日はバスに乗りますが、御所さんを超えて歩いた方が近いくらいです。そこで生活状況、昏睡症状に異変がないかをお聞きし、脈拍や血圧などを確認するのですが、それはあくまで報告のためというか、看護の真似事にすぎません。
二時前にお布団(シーツも洗い立ての清潔なものです)を中の間に敷いて、横になっていただくと、きっちり二時過ぎに昏睡状態に入られます。最近、わたしの目にも「昏睡(時間の飛び越し)に入った」というのがわかります。安堂さんの脳にある大きな扉が閉じてしまうというイメージでしょうか。
「安堂さん、安堂さん…」
そう声をかけながら、服を脱がせるのは私の役割です。
一緒に自分の服も脱ぎます。お伺いするときは脱ぎ気しやすい白や紺のシンプルなワンピースで、鈴本主任の座っている前でベルトを外し、ボタンを外し、ストッキングを脱いで、この日のために買ってあるちょっとかわいいというかセクシーなブラジャーとショーツを取ります。それだけで、興奮と恥ずかしさ、これから起こることへの期待で泣きそうになります。

「今日は、安堂さんのお顔の上でおまた大きい開いて、オナニーしてみよか…」
どうしてだか、それがまだ大切な検査であるようなふりをしています。
「ほら、手で隠さんと、安堂さんにもちゃんとご説明して…」
とんでもない恥ずかしいことを、平気で指示されますが、拒むことはできません。
そうそう、自宅に戻られてからは「安堂さん」とお声がけをすると昏睡中でも目がぱちくりと開きます。最初のときは心臓が飛びだすかと思うくらいびっくりしましたが、しばらくすると目は閉じられます。その記憶もまったくないようですが、それがわかっていても、恥かしさは倍増、いや十倍、百倍にもなります。「鈴本主任は症状が改善に向かっているのかも」「このまま刺激を続けましょう」と言われますが、本当に途中で覚醒されると、私はどうすればよいのでしょうか。
「安堂さん、今から佐久間がオナニーをいたしますので見て、感じてください」
顔の上にがに股立ちで跨ぐと、両手で左右から大きく開いて、消え入るような声で宣言し自分の股間を触り始めます。すぐに(というか、はじめから)グチュグチュという音がして、消え入りたいような羞恥と興奮、覚醒の恐怖で立っていられなくなります。
「安堂さんから良く見えるように、このまま広げてお顔ギリギリまで腰下ろして」
「安堂さん、手で大きく開きますので、佐久間の×××をよくご覧ください」
何でもいちいち、自分の口で安堂さんに恥ずかしい説明をしなければなりません。
和式トイレに座るときのように、安堂さんの顔に引っ付くくらい腰を下ろして、指を入れてグチュグチュすると、身体の中から湧き出た粘液がたらりと顔に垂れていくのがわかります。爪先立ちの足がガクガク、ふらついて何度も顔の上に尻もちをつき、主任に叱られながら、自分でクリトリスへの刺激を続けます。
でも、主任の言われていることは正しいようで、最近は陰茎を直接触らなくても、びっくりするぐらい、あっという間にムクムクと大きく、固くなっていきます。
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