高校生の暴力に屈した身体 ~伊藤美奈~

文字数 2,599文字

奴らはすぐに突っ込んでくるほど甘くはなかった。
緑川が背中からニキビ面を寄せ、耳朶を甘く咬み、うなじから耳裏をねっとりと舐めてくる。青野は器用にブラのホックを外し、乳首をゆっくり丸く舌先が回しながら、乳房を強く摘まんだり、甘く吸い付いたり、赤江はクリトリスを舌先で吸い突きながら、指を入れてゆっくりと激しく、ピンポイントでGスポットをなぞる。それぞれが三位一体でくるくると役割を交代しながら津波のように襲ってくる。
「やめなさい、やめて、ダメ、お願い」
いつの間にか三人ともに裸になっている。抑え込まれた手足が開放されても、ねっとりした生温かい水風船にくるまれたように逃げだせない。乳首を擦られたジンジンとした痛みが甘い愉楽にかわり、あそこに注挿される指のスピードに合わせて、雨が降り出したように、ピシャピシャと濡れた音が聞こえる。胸やお尻だけでなく、口の中や耳の穴、髪の毛や足指の間など、身体のあらゆる場所を、ごつごつとした無骨な指が這いまわり、繊細な舌と柔らかい唇が吸いついてくる。勃起した熱く固い筒状のものが胸を突き、髪を巻き付け、性器の周りや頬の上をこれ見よがしにたたいて回る。
「お願い、もうやめて」
荒い鼻息とともに、抵抗の声が小さくなる。
「美奈先生、細身やのに、揉み心地のええ胸してるやん」
「あそこもピンク色で、とろとろの割に経験少なめかな?」
「イヤイヤ言うてるけど、ええ具合にキューっと指締め付けてきよる」
走高跳用の白い体育マットの上で仰向けにされ、うつ伏せにされ、四つん這いにされ、上から下から、前から後ろから、右から左から、全身のすべての性感帯を絶え間なくそれぞれに違う指先、手のひら、舌先、技巧で揉みしだかれる。開かされ吸われ捏ね回されて、唾液と愛液と体液で息絶え絶えのヌルヌルのぐちゅぐちゅ、頭の中までドロドロ、ぐちゃぐちゃになっていく。
ここは学校だ。私は教師だ。レイプされているんだ。そう必死で自分に言い聞かせようとするが、這いまわる指と舌と唇に理性が覆い潰されていくのがわかる。
「こんなもんで、そろそろええか」
赤江の言葉に、三人の動きがピタリと止まった。
仰向けのまま「よっ」と腕と足を抱えられ、跳び箱の上に仰向けに乗せられる。「えっ、なに? 何がはじまるの?」と我に返る間もなく、「せーの」という掛け声とともに、大きく開かされた足の間と、ガクンと落ちた顔の目の前にそそり立った肉槍が、子宮と喉の奥まで一気に突き入れられた。

「うぅぐぅ」
前と後ろから挟み撃ちにされ、膣の中も口の中も窒息しそうになるが、両手首・両足首ともにバンザイと高く持ち上げられているので抵抗のしようがない。少しでも暴れると転げ落ちそうになり、前後から調子を合わせて押したり引いたり、抜き差しされるたび、グラグラの恐怖が増していく。
跳び箱の上で、ひっくり返され、馬の背にしがみつくような姿勢にさせられ後ろから突きまくられる。一番上の段が外れそうにガタガタ鳴って、ロデオのように振り落とされないよう強くしがみつく。左右から顔をはさんで上に向けられ、口の中にもう一本の槍が刺さってくる。後ろから押し込まれ、頭を押さえつけられ息ができなくなっても、何の抵抗もできず、嗚咽とともに、だらだらと鼻水と涙が流れだしていく。
「うぎぅ、うごぁ」
三人組なので口と膣だけでは足りないのか、限界まで開脚させられるとアヌスも破られた。初めての経験で、痛みよりも圧迫感が尋常ではなかった。私のお腹の中で二本の男根が、二人三脚で競争するようにグルグル、グリグリと暴れまわる。空中に放り投げられ、前と後ろから挟まれ、体育マットの上では騎乗位にされ、口の中にも押し込まれトリプルになり、入れ替わり立ち代わり、男たちが前から後ろから乗ってくる。
恐るべき高校生の性欲。何度射精しても終わることなく、緩むことなく、膣の奥で肛門の中で、喉をふさいだまますぐに回復する。浅く突いたり、深く突いたり、回転させたり、頭を押さえられて「うぐぅ、ぐげぇ」「はぁ、はぁ」、口の中も鼻の中もネバネバ、先端の太い矢じりが子宮を嬲り、どんどんと叩いてくる。恐怖なのか快楽なのか、早く終わってほしいからなのか、だから腰を振ったり、しごいたりしゃぶったりしたのだろうか、正直途中からあまり覚えてない。
「うっ」
その声で、膣と口の中に何度目かの精液が注ぎ込まれた。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」
「美奈先生、卒業祝い、ほんまにおおきに、ありがとさんでございました。これで本当に心身ともにすっきり思い残すことのう、青春の学び舎をさることができます」
ごろりと仰向けにされ、息も絶え絶えにマットの上で意識が混濁する私に、赤江が冷めた目で事もなげに言った。ようやく満足したのか自慢の槍先も硬度を失い、白濁した液を先端から垂らしながらだらりと下を向いている。
♬ あおげば尊し、わが師の恩~ 教えの庭にも、早幾年~ ♬
♬ 身を立て、名をあげ、や~よ~はげめよ~ ♬
「もう無理、これ以上は立たんて」と、ゲラゲラと笑っている。
「先生、ありがとやんした。これお返しときます」
青野はそう言って、撮られた数枚のポラロイドの写真を白濁した精液でグズグズになっている私の股間に押し込むと、汗を拭ったスポーツタオルを私の身体の上に投げ落とした。何事もなかったように腕時計をはめ、「もうこんな時間や、腹減ったし、マクドでも行こか」と笑いながら出ていった。

どれほどの時間が経ったのか。
「クシュン」
冷気にくしゃみが出て、我に返った時、ぬるっとしたものが下腹部から流れでてくる。強姦された怒りよりも、この場をどう納め、乗り切ればいいのかが頭をよぎった。千々に砕け散った手足を拾うようにしてセーターやスカート、ブラジャー、ショーツ、遠くまで飛んでいたパンプスを集め、身体中についた精液をタオルで拭う。スカートは濃紺だから目立たないとしても、白いセーターは泥と白線の石灰で汚れている。このまま職員室に戻ったらどうおもわれるだろう。化粧も剥げてひどい顔をしているだろう。
校長や他の先生にどう伝えよう。三人の親は学内PTAだけでなく京都の有力者。あいつらはあと一週間で卒業、一教師でしかない私がレイプされたと訴えても勝ち目はない。屈辱と悔しさで、ようやく涙があふれてきた。
その時に初めて、明かり取りの高窓から冬の曇り空が見えた。
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