第4話 相変わらず辛い新婚生活 (1)

文字数 1,303文字

「あああ、そうですね……」

「おっ、健太。これも頼むわ」

「うちのもお願い!」

「あっ、なら儂のも頼むわ」

「……えっ? ああ、はい……」

 僕がね、集落の仲を歩いていると、あちらこちらから声が掛かるの。だから僕は人気者でしょ? それにさぁ、ふと気づくと、僕が持ち歩いていた竹細工の籠がね、洗濯物──それも洗い物で一杯になっているんだよ。だから僕、それを見てね、『はぁ……』と、溜息を漏らすんだ。

 だってあれだよ?

 もうさぁ、この集落にきて日にちも経つのに。僕はね、相変わらずの奴隷のような扱いでね、こんな感じで、集落の人達の雑用を扱っているんだよ。この集落にきて最初の頃は、僕皆に食されたくないから、とにかく働いたよ、命が大事だから。でもここつい最近は、アイカさんとの夫婦の仲も良好だし、キュンキュンと、して生活を送っているよ。

 まあ、そんな訳だから、そろそろ長の夫だと、皆も認めてくれてもいいとは思うから。そろそろこんな奴隷のような扱いから、解放されたいと思うんだよ。でもまあ、こんな相変わらずの、この集落の人達。僕に対しての扱いに、不満ばかりがあるけれど。こればかりは、改善される素振りもないから、僕半分以上は、諦めかけているけれどもね……。

 でもまあ、そんな事は待遇は今はどうでもいいんだよ!

 何かねここつい最近というか、まあ、先程は夫婦中慎ましいと言った僕だけど。昨日ぐらいからアイカさん、おかしんだよね?

 そろそろ僕がここにきてから、月日も経つし。奥さま倦怠期? 僕に飽きたのかな?

 何かね僕に、あれしてこれしてくれと、述べてこないし。それこそ命令もなくなったんだよ。それに今日の朝には、ほとんどと、いって良い程に、アイカさんは声すら掛けてくれなかった……。

 だから僕は、またまたここに来た頃の悪夢のような夜を思い出すよ。毎晩ねアイカさんが包丁を研いでいないかとドキドキしていたもんだよ。だっていつ食べられてしまうか分からないから、ドキドキして中々眠れずに、不眠症になりそうになったぐらいだった。

 あああ、またまた緊迫した日にちを過ごすのか……。

 そんな嫌な思い、考えていると、本当にこの集落から逃げ出したくなる訳だよ。

 本当に嫌だよねこの世界は、僕に全然優しくないし。それにさぁ、僕、ひたすら愚痴ばかりを言っていたら。ふと、気づくと水場に着いていたよ。

 だから今から洗濯を始めるね……。

 でも、この集落の人達薄着だからいいけれど。これが厚手の物だと、この人数の量だと、今日一日で終わらないとは思うんだ。

 それに、今朝辺りから、僕への集落の人達の用事量が増えてきている気がするんだよ?

 特に今朝、朝食の時もね、アイカさんとは一緒ではなかったし。その後からも僕は一人で黙々と作業をこなしていたから。

『ずぅ~っ』と、一人ぼっちだったせいもあるのかな?

 ここつい最近は、アイカさんの目もあり、酷い事や用事の方も余り頼まれたり、強制的に押し付けられたりしなかったのにね。

 またまた今朝から増えてきたような気がするよ?
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