第1 話  プロローグ (8)

文字数 754文字

でもね、そんな独り言を愚痴る僕に、アイカさんはとどめの如く、容赦のない行動をしてくるよ。

「おい、行くぞ婿殿、子作りだ!」

 アイカさんはね。何も気にもしていない顔をしながら、大変な……そして男の僕でも恥ずかしい言葉を述べるんだよね。

〈ズルズル……〉

 その後はこんな感じで、僕の片方の足を掴んで──『ズルズル』と、奥の部屋へと引きずり歩き始めるよ。

 だからね僕は……

「ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってくださいアイカさん──僕子作りなど経験ないですから駄目です。出来ませんよ……」

 僕ね、掴まれていない方の片足を床に『バタバタバタ』と、バタつかせて暴れたよ。それでね、大騒ぎ迄して色々と彼女に抵抗してみたんだ。

 でもね、先程からそうなんだけど。アイカさんは、全く気にもしていない顔をしているよ。

 それどころか、何食わぬ顔をして──僕を奥へ奥へと運んで行くんだよね。

 ……したらさ、奥へ着いたよ。僕直ぐにアイカさんに寝台らしき場所へと放り投げられたんだ。

だから、『いっ、いたたたたたた……ここはどこ?』と、思いながら周りを『キョロキョロ』として確認をしていたら、アイカさんが迫りくるんだよ。
僕はそんな様子のアイカさんを見ながら後ずさりを始めた──それこそ乙女のように、怯えビクビクしながら、後ずさりを始めたんだ。

 だって僕、初めての事だしね……それに僕自身の純情な恋愛感情などアイカさんはお構いなしだよ。

 だから僕は本当に涙が出そうだよ。

 でもね、アイカさん。そんな乙女仕様の怯える僕に、先程から『ワシワシ』と、両手でしながら迫りくるの、『ニヤニヤ』微笑しながらね。

 そんな感じの僕達二人だから、他から見ればどちらが男か分からないよ……
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