第2話 ブラック新婚生活! (9)

文字数 506文字

まあ、そんな訳だから僕は、奥さんの機嫌を取るだけでなくてね。この集落の人達全体の機嫌も取らないといけない弱い立場な訳で。この集落最弱で微妙な立場の僕にはね、遠く離れ離れになった祖国や家族、友人などのお別れを『シクシク』と座り込み俯いて、悲しんでる暇などないの。

 とにかくこの世界に来たその日から、僕は自分自身の命を守る為にも、自分の妻や集落の人達の機嫌を取る為にただひたすら働かないといけなし。生き残る為にも常にも僕自身が出来る最低限の事を見つけては。それを積極的にしていかないと生きていけないんだ。

 でないとさ、集落の人達に気に入ってもらえないし、いつまでも仲間だと思ってもらえないし。僕の妻のアイカさんからは、『チッ!』と、舌打ちされて──『この役立たずが!』と、でも述べたいような顔をしながら、僕は(うち)の奥さんに睨らまれてしまうの……。

 だからね、僕も必死だよ、身震いして震えながら作業をこなしている……。今日もね、先ずは皆さんの食事の準備から始まり。それが終わると今度は、部屋の掃除で。それが終わると、皆さんの食事が終わるのを確認して──食べ終わっていれば片付けに入るんだよ。
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