第2話 ブラック新婚生活! (8)

文字数 988文字

と、まあ、先程も述べたけど。やっはり皆さんがいなくなって、この場がガランとして静まり返ると。思わず僕は、『あああ……』と、又溜息が漏れてしまうんだよね。

 だってさ、毎日の僕のお仕事だから、解ってはいるつもりだけど。やはりこれだけの人数分の片づけをしないと思うと。流石に嫌気がさし、溜息が漏れる……それも、『何度も、何度もだよ……』

だから僕は、先程から只ひたすら、愚痴が全く持って止まらない……。それに、この世界に召喚をされた頃の事を走馬灯のように度々思い出しては、涙を流し悲しむんだよ。

 本当にこの世界は、平成生まれの僕には辛い所だから。だって右も左も分からない僕をアイカさんはいきなり婿殿と呼ぶし……。

『ん?皆さん僕が贅沢だって?』


 う~ん、確かに、皆さんから見れば──長の婿殿と呼ばれている立場の僕だから、愚痴が出るのは可笑しいと思うかも知れないけれど?

 実はね、皆さんが思うほど。僕は家の中やこの集落での立場が良くはないんだよ。

 だって長の夫なのに、体つきも小さくて華奢な僕だからね。それにさ、貧弱な体型の僕は、幼少の頃より、ガリ勉で男で。勉強ばかりしていたもんだから、本当に体力などないのです。

 そんな如何にも#青びょうたん__・__#の僕だから、先ずは狩や戦などには、全く持って使い物にならないの。だから先程も述べ通り、立場が凄く弱いんだよね。

 まあ、そんな訳もあるから、この集落の役に立つ事といえば、食事の準備と御片付ぐらい……。それと後は家での家事とアイカの為に夜の奉公で彼女が満足させるぐらいが僕が出来る、精一杯頑張れる事ぐらいかな?

……あっ? それと奥様の、抱き枕になる事ぐらいかな?

 まあ、こんな感じの僕だから、本当に使えない……。どうしようもない男だと。召喚されたその日から、奥様や集落の人達に。最低のレッテルを貼られている、立場のない男なのね。

『あああ……」

 取り敢えずは僕──そんな訳もあるから、とにかく集落では微妙な立場で……。食事代も勿体無いから逆に食してしまったらどうかと? 集落の人達の間で意見も出たみたいなんだよ。

 だから長の婿殿といった立場でも、とても微妙な立場で。いつ集落から放り出されてもおかしくないし。処分されて食されてもおかしくない、立場なんだ……。
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