第6話 家出! (15)

文字数 713文字

「アイカさぁ、あああああああああああああああん! 待ってぇ、えええええええええええええええっ!」

 と、自分の妻に叫びながら。『アイカさん、間に合った? 間に合わなかっの? 一体どちらなのだろうか?』と、思いながら二人を確認しながら更に走って──二人に近寄っていった。

「……んんん……」

「……うむ、んんうん……」

『ガァ、アアアアアアン!』と、頭の脳裏にこんな音が響いてきたよ。僕の目の前にある二人の姿をハッキリと確認をしたら。とにかく僕自身の体も硬直したよ。それに『ガーン』と頭をハンマーで殴られたような衝撃に駈られてしまったね。

 もうさ、僕の目の前の状況を見たら、本当に頭の中もくらくらしてきた……。何故ならば、アイカさんは僕以外の男性と抱きあい、唇をしつこく重ね合いながら、濃厚なキスを嬌声が漏らしながら堪能しているからだよ……。

 でもね、そんな、喜びあって堪能している二人を。特に僕は妻のアイカさんを叱る事も出来ずに。妻の裏切り行為を只呆然と見る事しか出来ないでいる。

『……ん? あっ?』浮気相手はウォンさんか!

 確か彼は、オークの男性陣で一番武力が高いと言われている集落の英雄の一人だよね? 実際二人を見ると、僕よりかはアイカさんと、釣り合うと言えば釣り合うかも知れない……。

 そんな彼……と、いうか、二人を見て思わず僕は自身損失もなったよ。だから最初は、憤怒して二人を見つけたら、怒鳴り付けてやるつもりだったけれど。今はもう、浮気相手も解ってしまって、僕の先程までの強気の姿勢と威勢も抜けてしまった……。だから僕は、二人を憤怒して怒鳴り付ける事も出来ないでいる情けない男だよ……。
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