第42話 脱出できるのか?2

文字数 643文字

 俺たちは、転がっているロボットたちの手足を乗り越えるようにして、前方の通路に進もうとした。とそのときだった。一体のロボットに俺の右足首を掴まれた。そのロボットは死んで? いや、完全に破壊されてはいなかったのだ。
 俺の全身から、瞬時に血の気が、さあーと引いた。女がそれに気づいてくれた。すぐさま足首を掴まえたロボットに銃口を向け、頭を打ち抜いた。
 ブシュ! ブシュ! 鈍い音と同時に頭部の3分の2ほどが派手に吹っ飛び、眼球の一つが俺の足元まで転がった。  
 俺は気持ち悪さに、本能的に足を後ろに引いた。
 頭無しの不気味なロボットになったそいつは、それでも最後の信号を手先まで流したのか? 指先をぴくぴくと少し動かしていた。まったくしぶとい奴だ。だがすぐに信号が完全に止まったのか、ぴくりとも動かなくなった。
 ブシュ! ブシュ! 女が続けざまに引き金を引いて、他のロボットの頭も打ち抜いていた。
 もう死んでいる? いや動かないのに、なんて残酷なことをするのか、と俺は心で女の冷徹な仕打ちを非難した。だが、それは間違っていた。後で聞いて驚いたが、脳が生きていれば肉体を再生できるし、誰が撃ったのかもビデオの巻き戻しように復元して調べることができるのだ。
「これを持って」
 女がロボットから奪い取った銃を、俺に手渡した。
「操作は簡単よ。ここを引けば、レーザーが出るわ。さ、いくわよ」
 銃の操作方法を強い声で簡単に説明すると、女はまた走り出した。
 俺も後に続いた。
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