第３３話　ＡＩは、動物たちの救世主？

「わたしたちは、あなたが考えているような悪魔ではありません。逆に人類から地球上の全てのを救ったのです。人間は反省を忘れ、過ちを繰り返す動物です。いずれ愚かな指導者の誰かが、核兵器のボタンを押すのは確実だと、わたしたちの指導者は判断しました」
　女は観察するような眼を向けながら、言葉をつないできた。
「その愚かな核の全面戦争が起きる前に、人間の地球支配を終わらせるべきだと、人類の世界を終わらせたのです。そのおかげで他の動物たちは生き生きと暮らせるようになりました。牛や豚、鶏、ヤギ、あなたたち人間に食べられるためだけに飼育されていた多くの動物たちも、全て解放されました。わたしたちは人間のように他の動物を食べたりはしませんからね」
　女の最後の言葉には、なぜか同感している自分がいた。確かに、人間に食べられるためだけに飼われていた家畜たちにとってＡＩたちは救いの神なのかもしれないと、変に納得している自分がいた。だが、そうはいっても、８０億の人間が犠牲になっていいわけではない。
　また初めて会ったときと同じように、未開人を教育するかのように女は説明をすると、またも俄かに信じがたい驚愕の内容を長々と続けてきた。