第７話　新世界

　女に連れてこられた場所は、施設の最上階から半円形状に３０メートルほど長く突き出た空中庭園だった。いや、ビルの庭園にしては花壇やベンチも見当たらないし、ひどく変わった奇妙な造形物があちこちに置かれている味気のない広場だった。
　その広場を一瞥すると、すぐに視線は、外の景色に引っ張られた。俺は瞳に大きく映る周りの光景に驚いて、眼を見張った。
　いったい、ここは、どこなのか？
　人が住んでいそうな一戸建て住宅はむろん、マンションやオフィスビルのような建物は一つもなく、CGアニメのSF動画にでも登場しそうな奇抜なデザインをした数百の構造物が点在してた。　それらの構造物を眼にして俺は、自分が別の星にいるような錯覚を覚えた。
　ひどく驚いたままの頭を動かし、瞳を地上に落とした。ここから地面までは６、７０メートルはありそうだ。
　そこでまた、眼を見張った。改めて地上を見渡すと、どこにも車が走れる道が見当たらない。絨毯のような芝生と綺麗に手入れされた緑樹に、色鮮やかな花園が幾何学的に広がっているだけだった。