第57話 袋小路4
文字数 436文字
走って10秒も経っていないときだった。ゴー! という不気味な濁流音が、小さく聞こえてきた。
「汚水が来るわ! もっと早く走って!」
女が怒鳴るように声を張り上げた。
嘘だろ! さっき5分と言ったじゃないか。5分どころか、まだ10秒しか経ってないぞ! 胸の中で不満の声を飛ばしたが、いまはそんなことを呑気に言っている場合じゃない。とにかく走るしかない。
だが、金メダリストより速くなったとはいえ、水鉄砲には敵わない。水の音からして、数十秒で汚水が襲ってくるだろう。
ゴォー! という音が、予想よりも早く大きくなってきた。
俺の脈拍が大きくなってくる。いままであり得ないようなラッキーが続いて運よく助かったが、管路の中では逃げようがない。いよいよ終わりか?
俺は汚水を呑み込んで、死ぬのか?
そんなくさい死に方はしたくないと、懸命に走り続けた。ますます大きく聞こえてくる汚水音が気になり、全力で走りながら本能的に振り返った。
汚水が、目の前に迫っていた。
「汚水が来るわ! もっと早く走って!」
女が怒鳴るように声を張り上げた。
嘘だろ! さっき5分と言ったじゃないか。5分どころか、まだ10秒しか経ってないぞ! 胸の中で不満の声を飛ばしたが、いまはそんなことを呑気に言っている場合じゃない。とにかく走るしかない。
だが、金メダリストより速くなったとはいえ、水鉄砲には敵わない。水の音からして、数十秒で汚水が襲ってくるだろう。
ゴォー! という音が、予想よりも早く大きくなってきた。
俺の脈拍が大きくなってくる。いままであり得ないようなラッキーが続いて運よく助かったが、管路の中では逃げようがない。いよいよ終わりか?
俺は汚水を呑み込んで、死ぬのか?
そんなくさい死に方はしたくないと、懸命に走り続けた。ますます大きく聞こえてくる汚水音が気になり、全力で走りながら本能的に振り返った。
汚水が、目の前に迫っていた。