第6話 新国家とは?

文字数 453文字

「いまここで、それを説明しても、あなたは混乱するだけでしょうから、これから新しい世界を見てもらいながら説明します。大丈夫、あなたが考えているようなヒトラーのような残忍な独裁者が世界を支配してはいません。心配しないでください」
 まるで、心が読めるかのように答えてきた。
 その感情を一切見せない口振りと表情から、ここでこれ以上、女に問い質しても無理だと理解した。
 肝心な質問に答えないことに疑念を抱きながら、自分が眠っていた間にとんでもないことが、俺の想像をはるかに超えたことが、地球で起きたことだけは、なんとなく理解した。それと女と話し続けていると、心がざわつくだけだった。看護師や介護士が親身に世話をしてくれるのとは違って、自分が何か実験動物のように扱われているように思えた。
 それは、当たっていた。やはり人体実験の扱いを受けた。奇妙な検査の材料にされた。幸い、体を切り刻まれることはなかったが。
 その検査から解放されると、女に連れられて施設を出た。いや正確には、まだ施設内の外に出ただけだが。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み