第14話 見覚えのある顔
文字数 485文字
俺は、頭や体に纏わりついた岩くずの埃を落としながら、鳥男の顔に眼をやった。まだ20代
前半だと思われるが、端正な顔立ちの割には、実年齢よりもどこか老けて見えた。
そういう風に男が見えるのは、さっきのような死の危険が日常茶飯事起きていて、あのシリアやアフガニスタン、ガザ地区で殺害の恐怖に怯えて暮らす人々のように、死と隣り合わせの地獄のような世界で生きているせいなのかもしれない、と思った。
「僕の名前は大谷ジュン、あなたの名前は?」
俺は、確かめるかのように訊いてきた大谷の顔に思わず見入っていた。別に、一目惚れしたのではない。俺にはそんな趣味はない。
自分の一人孫娘の眼と雰囲気が、どこか重なって見えたからだ。が名前からして、赤の他人だろう。俺が冬眠生活に入った後、結婚して孫の姓が変わっているかもしれないが、目の前の男が孫娘とつながりがあるとは思えなかった。
このあまりにも異常な世界で、映画やテレビドラマのような、そんな出来すぎの出会いがあるわけなどないと思った。世間には似ている人間が2、3人はいるらしいが、きっとそういうことなのだろう、と思った。
前半だと思われるが、端正な顔立ちの割には、実年齢よりもどこか老けて見えた。
そういう風に男が見えるのは、さっきのような死の危険が日常茶飯事起きていて、あのシリアやアフガニスタン、ガザ地区で殺害の恐怖に怯えて暮らす人々のように、死と隣り合わせの地獄のような世界で生きているせいなのかもしれない、と思った。
「僕の名前は大谷ジュン、あなたの名前は?」
俺は、確かめるかのように訊いてきた大谷の顔に思わず見入っていた。別に、一目惚れしたのではない。俺にはそんな趣味はない。
自分の一人孫娘の眼と雰囲気が、どこか重なって見えたからだ。が名前からして、赤の他人だろう。俺が冬眠生活に入った後、結婚して孫の姓が変わっているかもしれないが、目の前の男が孫娘とつながりがあるとは思えなかった。
このあまりにも異常な世界で、映画やテレビドラマのような、そんな出来すぎの出会いがあるわけなどないと思った。世間には似ている人間が2、3人はいるらしいが、きっとそういうことなのだろう、と思った。