第18話 AIの時代

文字数 569文字

 AIを搭載した空飛ぶ車の出現で、陸海空の交通の垣根が無くなり、世界の国の主な都市から道路が消えていった。
 文明の動脈でもあった道路は、過去の遺物となったのだ。
 その道路を消滅させた飛行乗用車も、人間自身が自由に空を飛べるフライボードを進化させたフライシューズの登場で、個人用の乗用車も不要となっていった。個人が使うときは雨の日とか家族で行楽に行くときに、レンタルで利用するときぐらいだった。
 AIは、人間の夢だった不老長寿どころか、不死さえも可能にしてくれた。ただし、その恩恵は、一部の人たちだけが甘受したが。
 AIの進化は無限のように続き、人間に多くの恵みを与える一方で、世界の80%を超える人々が失業者となり、飢餓に苦しむ人々が世界中に溢れかえった。
 その悲惨な世界を眼にしても、強欲な資本家たちは富を独占し、飢餓に耐えかねて抗議行動を起こした人々を容赦なく弾圧した。
 それでも抗議行動は世界に広がる一方だった。やがて抗議運動は弾圧に対抗して、過激な反乱に変わり武力衝突が世界中で頻発した。その反乱に加わる圧倒的な民衆の数に恐れを抱いた世界の権力者たち、資本家たちは火星の地球化を始めた。
 その目的は、民衆の反乱を抑え込むことだった。
 青い美しい地球は自分たちが独占し、民衆は過酷な環境下の火星に追放する。

  
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