第25話 避難壕2

文字数 591文字

 ドカーン! ドドーン! ズドーン! 攻撃と破壊力は凄まじかった。次々と吹き飛ぶ岩石に混じり、炎と黒煙があたり一面を覆った。攻撃は一方的だった。人間のロボットたちへの反撃はなかった。
 俺はその光景を眼にしていて、なぜかイスラエル軍がガザ地区のパレスチナ人たちを無差別に虐殺している光景を連想した。
 夏の日差しが肌を指す日だった。パレスチナ人が押し込まれているガザ地区を取材したときだった。日本でいえば小学3年生ぐらいの少女だった。その少女の体が俺の目の前でイスラエルの攻撃に遭い、無残に吹き飛ばされたのを思い出した。その少女は、幼い妹がお守りのように腕に抱えている、ぬいぐるみの人形を代わりに家に取りに行こうとして、犠牲になったのだ。
 俺が棺桶で、いや人体保存のカプセルで眠りにつく年もそうだった。ガザはイスラエル政府に封鎖されていたが、あれからどんな運命を辿ったのだろうか? たぶんあの狂気の世界は、人間の時代が終わるまで続いていたのかもしれない。
「みんな! 避難しろ!」
 リーダーの石田の叫ぶ声を背にしながら、外に飛び出して見ていた全員がトンネルに我先にと避難した。そしてみんな息を潜め、石のように固まった。俺も直ぐに真似をした。大谷からその理由を聞いていたからだ。
 奴らは、ロボットたちは遮るものが何も無ければ、体から発する熱や、微かな動きも感知して襲ってくる。
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