第4話 世界から人間の国が消えた

文字数 416文字

 それからマネキン女は、未開の原始人でも一から教育でもするかのように、俺が寝ている間に世界で起きたことを説明してきた。
 その説明で一番驚かされたのは、アメリカ、ロシア、中国、そして日本が、世界の全ての国が無くなり、世界が一つの国家になった、ということだった。
 だが、人類の文明が存続し続けるかぎり、絶対にあり得ない話だ。そんな寓話のような話は、この眼で直に確かめるまでは、とても信じられる話ではない。
 が、彼女の口振りは、嘘を吐いているようには見えなかった。
 すると、急に不安を覚えた。眠りにつく前に気になっていた、世界を覆う不穏な動きが脳裏に浮かんだ。アメリカと中国、ロシアとの対立の激化。EUではネオナチがゾンビのように増殖し、そして日本にも民主主義を脅かす排外主義者たちが台頭していた。
 そんな排外主義が吹き荒れる社会が世界中に蔓延し、またあのヒトラーのような独裁者が登場して、今度は世界を支配しているのだろうか?
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