第31話 地球に還れ

文字数 1,458文字

 組み立てるに簡単な方法が有り、夕陽の残照の陰のもと月が昇り目下には信号機の緑黄赤、点滅が繰り返し人間を社会に組み込んでいる、ニュートン法則に従ったまま数字が続いている。ただもっと安易安全に工作する譜面的役割の数字順が恐らく僕の為だけに、隈取られていた。出鱈目な文様も復元には役立った。

 「仮に(ニュートン譜)としよう」。

 まず手始めに数字順に断片を並べてみる、仕手、1と2、次いで3を繋ぐ。どうしても4が必要で5に手を付けると6で手を離せる。7、8は考え無しで、9からがパズル。組み木の如く、数順なしでは手間だけは取られたので時間の無駄が省かれ、すくなくとも何処からかが無駄か考えるその無駄を省いてくれた。

 各部品のアルファベットを繋げた意味は、
「さよなら/またね」The past will be gone(去りし日々はいづれ去ろう)。

 のちに述べる(ニュートン譜)の利点に月の衛星的軌道ならび時間感覚の中和飽素、変わることなく変化を眺めてきた温故からの常軌天文学の帰納集約路(デクレシェンダンス)がある。そして最先端のテクニカル・アーツへ、どこかしこ「ド・ブロイの詩(目的音素列の結合に垣間見る重力波)」の可視化がゴーグルに依って発見される時代も来よう、その椅子は黙したまま完成をじっと待って、待ち草臥れた僕もその椅子に座って静かに音楽の終焉を待っている。

 万有引力の雨は彼女の夢の中へ、ウサギ追いかけ穴ぐら深く、ワンダーランドは入場料の代わりに身包みを剥がし、なけなしの木片で昼の食銭を浮かし、儲けた空腹は幻想世界に追い込んでいく。

 今、たった今、彼女は世界の何処をほっつき歩き回っているのか、自転公転、移動距離は加算演算に大公転と小公転、準群・半群を持て余し、巡回置換元・単位元の結合・列数可換の精密な(有限状態の閉じた環数式)を要求する。立て篭もり犯人はヘリコプターを要求、政治家は得票、パン屋は代金の、酒店は時価ワイン代に気前も乗せる。仏蘭西の過激派数学少年は決闘に敢えて敗れ、恋人に勇猛さを誇示し、思想家夢想家は空腹から空に詩を弓、熟れて炸裂する果実は折り良い季節を秋の央点に留どめることを希求する。

 数式を解くに教師に「ひどく回りくどい言い方」と称される迷盲遁走(フーガ奏法)式解を行うこともある。半ば態とである。しかし後にこの国で再流行する大型迷路の行き当たりばったりする情報の即興狂想曲的発想に任せる依りかは素直で従順テンポよく、論理的にスマートな結論解に辿り着く方法とも想える。

 手に負えない手間掛かる方法をわざわざ選び、選り分けた中から拠り喰えない物ばかり敢えて拾う。雑多に搔き集めた語り口を異常な丁寧さで要約し、切り口の読めない羅列を突拍子に惑うことなく調律させる、死にさらばえろ人類惰性に生物同士の貨幣取引を当て嵌めて、そこに嘱しない風流れの渡り鳥を木々に宿らせ、バックギャモン賽の目よろしく後白河盤上に同じく無常感興に相ひ入れる。

 カウンセラーに言わせると「解きたいのか解きたくないのか」の虚弱意志にエディプス及びエレクトラの同族嫌疑の糸累から綻ころぶ「大ネズミの単独行動」だとか僕にはわからない。

 君に嫌われたのは、そもそもの原因と理由の平方根を間違えて挿し木し、胸に種うもれる花の来春を待たせ過ぎて、柿落ちるのに落ちた去年の柿、スープが冷めてそれを飲むのに群論的順序加算演算に(ニュートン譜)を、完全有限の経過としての結論を先延ばしにし過ぎたためだろうモシャモシャ頭を掻く。




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