第23話 『NARUTO』の予言   ~近未来を知らせる~

文字数 1,477文字

私は博多行きの新幹線に乗っていた。
今回の九州旅行では、とても楽しみにしていることがある。
それを説明する為、まずは『ナルト』というマンガのとあるシーンについて紹介しよう。

『ナルト』と言うマンガ作品の中に『一楽』なるラーメン店が出てくる。

――ラーメン店『一楽』

主人公のナルトは、この『一楽』のラーメンが大好きである。

先日、たまたま『ナルト』のアニメを観た。
その回でもナルトは「らーめん!らーめん!」と喜び勇んで『一楽』へ向かうシーンがあった。

じつはこのラーメン店『一楽』は、なんと!

――実在する!

『ナルト』の作者の岸本斉史氏の母校である九州産業大学から徒歩数十秒の所に実在しているのである。



岸本氏は学生時代に自分が通っていた思い出のラーメン店をマンガの作中に登場させた、というわけである。

以前、九州産業大学へ行った時、私はすぐに『一楽』を見つけ、いたく感動した。

――おおおっ!これがアノ『一楽』か!

その日は時間の都合上、残念ながら『一楽』でラーメンを食べることはできなかった。

そして本日。私は再び九州に降り立った。

今回こそは……

――念願の『一楽』でラーメンを食べる!

これを旅の目的の1つとして楽しみにしている、というわけである。

私は博多駅でバスに乗り換え、目的地へと向かった。

「いよいよ『一楽』のラーメンを食べられる!」

いやが上にもテンションが上がる。

『ナルト』のラーメンが食べられる。
一体、どんなラーメンなのだろうか。
前回は、食べることが出来なかった。
しかし、ついに食べることが出来る。

心がウキウキと躍った。

そうこうしているうちに、バスが九州産業大学前に到着し、プシューと扉が開いた。

「さあ、いよいよだ!」

逸る気持ちを抑えつつ、目の前の『一楽』に向けて歩を進めた。

――ん?

ところが、店に近づくにつれ、なにやら様子がおかしいことに気がついた。

「えええっ!マジかぁあ!」

なんと!

――営業中の札が出ていない!

すなわち「休み」なのである。

「う、う、う……こ、こ、これは……」

私はあまりのショックに言葉を失い、膝から崩れ落ちた。

「な、なぜだぁ、ホワイ……」

通りがかりの方の話によると、「しばらく営業をお休みしている」とのことだった。

私は普段、直感がかなり鋭い方である。
大抵は事前に直感が働き気づき、このような事態になることはない。
このような出来事は稀である。

『一楽』のラーメンが食べられると浮かれすぎて、直感が鈍ったのだろうか。

いずれにしてもショックが大き過ぎる。
しかし、こればかりはどうしようもない。
諦めようと、踵を返した、その時だった。

「あああっ!そう言えば!」

――私は重大な事実に気がついた

冒頭でお伝えしたように、数日前、私はアニメの『ナルト』を観た。
ナルトがラーメンを楽しみに『一楽』へ向かうシーンだった。

ところが、じつはそのシーンには続きがある。
ナルトが楽しみに「らーめん!らーめん!」と声を上げながら『一楽』へ向かうと……
なんと!

――「臨時休業」だった!

そうである。『一楽』はお休みだったのである。

まさに、数日前に、たまたま観たアニメの『ナルト』と全く同じ目に、私は遭ったわけである!

これには私も心底驚かされた。

――まるで予言ではないか……

さらに驚くべき点がもう1つある。

なんと!『ナルト』のアニメは全600話。
その中から、たまたま1つだけ観たのがこの話だったとは……まさに奇跡的な確率。

驚愕にも、これは『事実』である。

数日前、奇跡的確率で観たアニメ『ナルト』が、私の九州旅行での一幕を……

――予言していたとは……

まさに「事実は小説よりも奇なり」である。



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