第5話 チャンスを掴む人、逃す人 ~ゴッドファーザーⅢ~
文字数 1,614文字
これぞ!というモノを見つけた時、「即買い」をするだろうか。
万事につけ「大切なことは後回しにしない」方がよい。
かくいう私も、かつてはそのような性分ではなかった。
しかし、ある大事件から大きく変わった。
そうである。
あの日以来、私は変わった……
数ある映画のポスターの中で「一番カッコイイポスター」は何かご存じだろうか。
それは、映画『ゴッドファーザーⅢ』のポスターである。
暗がりの部屋、物思いに耽り、豪奢なイスに座るアル・パチーノ。背後の窓から神々しい黄金の光が差し、下段には黄金の文字で『ゴッドファーザーⅢ』とある。
これよりカッコイイ映画のポスターを、私はこれまでに見たことがない。
――うむ、なんというカッコ良さ、素晴らしい……
私はこの美しいポスターがなんとしても欲しかった。
そんなある日、偶然にも幸運な出来事が起きた。
そう、それはまさに幸運だった。
その日、私は名古屋の若者の街、栄にいた。
用事を済ませた後、何気にそのまま徒歩で矢場町方面へと向かった。
ふと見ると、パルコ入り口に『映画ポスター展』なる張り紙がある。
――おぉ、これは!
映画好きの私は迷わず入館した。
この張り紙に気がつかなければ、通り過ぎるところだった。あぶない、あぶない。
たまたま、この張り紙に気づけたことは、まさに幸運。
館内に入ると、ズラリと映画のポスターが並べられ販売されていた。
ポスターはそれぞれ作品ごとに、1.5m以上もある巨大なファイルに入れられていた。
「気に入ったポスターを購入して帰ろう」
私は、そんなことを考えつつ、会場の端から順に1枚ずつポスターを鑑賞していった。
すると、その時であった。さらなる幸運な出来事が起きた。
――おおおっ!こ、これは!
映画『ゴッドファーザーⅢ』のポスターである。
「よし!帰りにこれを買っていこう!」
迷わず購入を決定した。
しかし、まだまだ鑑賞していないポスターがたくさんある。
ひとまず全てのポスターを鑑賞してから、この素晴らしき『ゴッドファーザーⅢ』のポスターを購入することにした。
他にも、ロッキー、ランボー、レオン、と、私の好きな映画のポスターがたくさんあった。
――しかし、どれも『ゴッドファーザーⅢ』のポスターには敵わない!
それほど魅力的なのである。
そんなことを思いつつ、ふと顔を上げると、先程の『ゴッドファーザーⅢ』のポスターを巨大ファイルから抜き取り買っていく人の姿が見えた。
「ははは。やはりあのポスターはカッコイイから。欲しい人いるわけだ」
納得。私も絶対に買って帰るぞ、とあらためて自分に念を押した。
全てのポスターを鑑賞し終え、そろそろ待望の『ゴッドファーザーⅢ』のポスターを購入して帰ることにした。
嬉しさから高揚する気持ちを抑えつつ、悠々と目的のポスターの場所へと一直線に向かった。
すると、そこには、なんと!
――『ゴッドファーザーⅢ』のポスターは無かった!
えっ……え、えええっ…‥‥
私は、一瞬絶句した後、愕然とした。
なんとも売り切れていたのである。
「あぁ、そうか……さっきのアレが最後の1枚だったのか……」
そうである。ふと、私が顔を上げた時に目にした、別の人が買っていったポスターが最後の1枚だったのである。
「しまった……先に買っておくべきだだった……」
もしも、先に購入していたら、このような憂き目を見ることも無かったはず。
そう考えると、悔やんでも悔やみきれない。
あれほどまでに欲しかったポスターを得るチャンスを、ほんの僅差で逃してしまった。
しかも、最後の1枚が買われていくところを目撃している。残念、残念過ぎる。
――あぁ……
ショックのあまり、私は膝から床に崩れ落ちた。
――『大切なことは後回しにするな!』
この言葉が、頭の中に、大きく、大きく、何度も、何度も、木魂のように響いていた。
そうである。
この日以来、私は変わったのである……
しかし、この話はここで終わりではない。
さらなる「事実は小説よりも奇なり」な話へと続く……
万事につけ「大切なことは後回しにしない」方がよい。
かくいう私も、かつてはそのような性分ではなかった。
しかし、ある大事件から大きく変わった。
そうである。
あの日以来、私は変わった……
数ある映画のポスターの中で「一番カッコイイポスター」は何かご存じだろうか。
それは、映画『ゴッドファーザーⅢ』のポスターである。
暗がりの部屋、物思いに耽り、豪奢なイスに座るアル・パチーノ。背後の窓から神々しい黄金の光が差し、下段には黄金の文字で『ゴッドファーザーⅢ』とある。
これよりカッコイイ映画のポスターを、私はこれまでに見たことがない。
――うむ、なんというカッコ良さ、素晴らしい……
私はこの美しいポスターがなんとしても欲しかった。
そんなある日、偶然にも幸運な出来事が起きた。
そう、それはまさに幸運だった。
その日、私は名古屋の若者の街、栄にいた。
用事を済ませた後、何気にそのまま徒歩で矢場町方面へと向かった。
ふと見ると、パルコ入り口に『映画ポスター展』なる張り紙がある。
――おぉ、これは!
映画好きの私は迷わず入館した。
この張り紙に気がつかなければ、通り過ぎるところだった。あぶない、あぶない。
たまたま、この張り紙に気づけたことは、まさに幸運。
館内に入ると、ズラリと映画のポスターが並べられ販売されていた。
ポスターはそれぞれ作品ごとに、1.5m以上もある巨大なファイルに入れられていた。
「気に入ったポスターを購入して帰ろう」
私は、そんなことを考えつつ、会場の端から順に1枚ずつポスターを鑑賞していった。
すると、その時であった。さらなる幸運な出来事が起きた。
――おおおっ!こ、これは!
映画『ゴッドファーザーⅢ』のポスターである。
「よし!帰りにこれを買っていこう!」
迷わず購入を決定した。
しかし、まだまだ鑑賞していないポスターがたくさんある。
ひとまず全てのポスターを鑑賞してから、この素晴らしき『ゴッドファーザーⅢ』のポスターを購入することにした。
他にも、ロッキー、ランボー、レオン、と、私の好きな映画のポスターがたくさんあった。
――しかし、どれも『ゴッドファーザーⅢ』のポスターには敵わない!
それほど魅力的なのである。
そんなことを思いつつ、ふと顔を上げると、先程の『ゴッドファーザーⅢ』のポスターを巨大ファイルから抜き取り買っていく人の姿が見えた。
「ははは。やはりあのポスターはカッコイイから。欲しい人いるわけだ」
納得。私も絶対に買って帰るぞ、とあらためて自分に念を押した。
全てのポスターを鑑賞し終え、そろそろ待望の『ゴッドファーザーⅢ』のポスターを購入して帰ることにした。
嬉しさから高揚する気持ちを抑えつつ、悠々と目的のポスターの場所へと一直線に向かった。
すると、そこには、なんと!
――『ゴッドファーザーⅢ』のポスターは無かった!
えっ……え、えええっ…‥‥
私は、一瞬絶句した後、愕然とした。
なんとも売り切れていたのである。
「あぁ、そうか……さっきのアレが最後の1枚だったのか……」
そうである。ふと、私が顔を上げた時に目にした、別の人が買っていったポスターが最後の1枚だったのである。
「しまった……先に買っておくべきだだった……」
もしも、先に購入していたら、このような憂き目を見ることも無かったはず。
そう考えると、悔やんでも悔やみきれない。
あれほどまでに欲しかったポスターを得るチャンスを、ほんの僅差で逃してしまった。
しかも、最後の1枚が買われていくところを目撃している。残念、残念過ぎる。
――あぁ……
ショックのあまり、私は膝から床に崩れ落ちた。
――『大切なことは後回しにするな!』
この言葉が、頭の中に、大きく、大きく、何度も、何度も、木魂のように響いていた。
そうである。
この日以来、私は変わったのである……
しかし、この話はここで終わりではない。
さらなる「事実は小説よりも奇なり」な話へと続く……