第３話　隣の席にいた女性・・・

人生には「奇跡の出会い」というものがある。
思いもよらない場所で、思いもよらない形で、生じる。
それは、まさに奇跡と呼ぶに他ならない出来事だった。

これはメルマガで『心理カウンセリング講座』を執筆していた時のこと。
私は自分一人ではどうにも解決できない問題に直面して困り果てていた。

それは、今回の『心理カウンセリング講座』のメルマガ記事を執筆する上で、どうしても「現役カウンセラーの方へのインタビュー」が必要となったからである。

しかも、カウンセラーであれば誰でもよいわけではない。
一定の条件を満たす方でなければならない。
その条件とは…‥

１、 大学院もしくは大学の心理学部を卒業している
２、 現在、プロとしてカウンセリングを行っている
３、 １０年以上のカウンセリングのキャリアがある

この３つの条件を満たすカウンセラーの方にインタビューをしないことには、その先のメルマガ記事を書き進めることが出来ない状態となっていた。

ところが、私は地方に住んでいる為、プロのカウンセラー自体がいない。
もちろん、知り合いにもこの条件に一致する人はいない。

――困った……

今回のメルマガのテーマに関しては、インタビューがどうにも必要だ。
これには、本当に困り果ててしまった。

ところが、そんな矢先、とんでもない出来事が生じた。
いつものように、私がカフェで執筆をしていると、ふと隣の席の女性が声を掛けてきた。

「もし、よかったらコンセント使ってくださいね」

この時、私はコンセントのない席で、バッテリーでノートPCを起動させ執筆をしていた。
この女性の座っている席側にはコンセントがあり、私の席側にはコンセントが無い。

そこで、この女性は、私を気づかってくださり、「もし、バッテリーが切れたら、自分の席の方にあるコンセントを使ってください」と声を掛けてくださったのである。

「ありがとうございます」

私は、その女性にお礼を伝えた。

ところが、その女性の席をふと見ると、テーブルの上に「PTSD」と書かれたタイトルの本が置かれていた。

――え、まさか……

「PTSD」とは「心的外傷後ストレス障害」、これは明らかに心理学の本である。
私は、「まさか」と思いつつも、意を決して、この女性に尋ねてみた。

「あの、ひょっとしてカウンセラーの方でしょうか」

すると、耳を疑うような言葉が返ってきた。

「ええ。そうです」

――マジかぁああ！

本当にこれには驚いた！
私がカウンセラーの方にインタビューが出来ずに困り果てていたところ。
たまたま、カフェで私の席の隣に座り、たまたま、私に声を掛けてくれた女性が……
なんと！

――現役カウンセラーの方だったのである！

何と言う偶然の一致！
しかも、お尋ねしてみたところ、３つの条件を見事に満たしていた！

――まさか、こんな奇跡が起きるとは！

私は、事情を説明し、インタビューをお願いしてみた。
すると、その女性は快く引き受けてくださった。

こうして、私は現役カウンセラーの方へのインタビューを終え、そこから得た結果をもとに、メルマガの記事を書き進めることが出来たわけである。

この出来事には本当に心底驚かされた。
一体、どのような因果のもとに、このような奇跡が現実となったのだろうか。
「見えざる力」のようなものを感じざるを得ない出来事であった。

このような奇跡の偶然の一致が現実に起きるとは……

まさに「事実は小説よりも奇なり」である。