第２１話　ぼ～っとするほどの気持ち　～実現化する本当の気持ち～

「イイなぁ」と心から憧れたことが、ふと現実になることがある。
ただし、これは並の「イイなぁ」ではなく、強烈に「

イイなぁ

…」という気持ちのこと。

言うなれば、見惚れて思わず……

――「ぼ～っとするほどの気持ち」

まるで白昼夢を見ているかのようになる。
いわゆるゾーンに入った時のような感覚。

あまりに「イイなぁ」と夢中になり過ぎて別世界に入り込む。
そして、ハッと我に返り、一気に現実世界に引き戻される。

そんな体験をしたことはあるだろうか。

この体験をすると、その「イイなぁ」と思ったことが、数ヵ月後に……

――必ずそれが現実となる

不思議なことに、どういうわけか必ず実現するのである。

あの時も、そうであった……

クルマで出掛け、喉が渇いたので、飲み物を買う為にコンビニに寄った。
店内に入り、奥の冷蔵庫へ向かう途中、ふと１冊の雑誌が目にとまった。

「あれ、この人は……」

雑誌の表紙に、私の知っている作家の名前が書かれていた。
なにげに、その雑誌を手に取り広げてみた。

「あぁ、なるほど、記事の監修をしたのか」

私も作家であるが記事の監修の仕事はしたことがない。

「へええ、イイなぁ……監修かぁ……」

その記事を読みながら、記事の監修の仕事をしてみたいと感じた。
そうである。憧れをもって強烈にそう感じてしまったわけである。

監修とは、どういう仕事なのだろうか？
通常の出版とは、どう違うのだろうか？
どの様な流れで仕事をするのだろうか？
どの程度自分が文章を書くのだろうか？
それとも、文章は書かないのだろうか？

……私の興味は尽きなかった。

「うむむ、一度でイイから、体験してみたい……」

私は強烈にそう感じた。

じつは、この雑誌記事を監修している作家氏と私は同じ出版社から本を出している。
しかも担当編集者まで同じである。

だとしたら、ひょっとしたら、私にも記事の監修の仕事が来るかもしれない。
いや、来て欲しい……などと、勝手なことを本気で真剣に考えてしまっていた。

――ハッ！

私はふと我に返り、現実世界に戻ってきた。
どうやら相当「ぼ～っ」と夢中になってしまっていたらしい。
まさにゾーンに入り別世界に行っていた。

「いかん、いかん」

私は自重するようにそうつぶやき、雑誌を棚に戻し、飲み物を買ってコンビニを出た。
　
ところが、その数ヵ月後、とんでもないことが起きてしまった。

それは……なんと！

――雑誌記事の監修の依頼が来た！

これには、本当に驚かされた！
数ヵ月前、「ぼ～っ」とするほどに、憧れを抱いた仕事が実際にやってきたのである。

私は念願の雑誌記事の監修の仕事をすることが出来たわけである。

じつは、このような体験を何度かしている。

どいうわけか「ぼ～っ」とするほどの強烈な憧れの気持ちを抱いた時……

――必ず願いが実現している

その理由は定かでないが、それは「心の奥底にある本当の気持ち」に触れた時の感覚のように感じている。

日頃から「心の奥底にある自分の本当の気持ちを大切にする」ことで、この体験は起こるのではないだろうか。

自分の本当の気持ちと向き合い努力や行動をすをれば、この体験が出来ると私は考える。

つまり、これは誰にでも起こり得ること。

それにしても……

白昼夢の如き未来予兆が実現するとは……

まさに「事実は小説よりも奇なり」である。