第39話 『エアロスミス』    ~奇跡の三連続での発現~

文字数 1,600文字

間違えて買ったモノが偶然の一致を起こす。
ついうっかり、自分が欲しいと思っていたモノとは、全く別のモノを買ってしまった。
これは不要なモノを買ってしまったようにも見える。
ところが、そこから驚くべき偶然の一致が起きることがある。
あの時も、まさにそうだった。

仕事帰り。
なぜか急に「たこ焼き」が無性に食べたくなった。
どういうわけか「たこ焼き」が、食べたくて、食べたくて、仕方がない。

衝動に従い、職場近くの「たこ焼き屋」に寄ることにした。

この場所に「たこ焼き屋」があることは知っていたが、初めての入店。
テーブルとイスもあり、店内飲食も出来る。
観葉植物の隣の棚には、ズラリとマンガ雑誌が並べられている。

たこ焼きが出来上がるまで、マンガを広げて待つことにした。

棚から適当に一冊手に取り読み始めた。
なにやら、興味深い物語が載っている。

「直感で行動すると、次々と良い出来事が起こる」

と言った偶然の一致を模したような話である。

――あぁ、これは面白い!

このマンガがとても気に入った。
たこ焼きを食べ終えると、コンビニへ寄り、同じ雑誌を購入して帰った。

その夜。
部屋で、もう一度あのマンガを読もうと雑誌を広げた。

「あれ?……おかしいなぁ……」

例のマンガが載っていない。
不思議なことに、たこ焼き屋で読んだマンガが載っていない。

すぐに原因に気がついた。

どうやら、たこ焼き屋で読んだ雑誌は「古い号」だったらしい。
そうと知らずに、間違えて「最新号」を買ってしまったらしい。

――残念!

どうりで載っていないわけである。
間違えて買うとは、我、不覚なり。

ところがこの間違えて買った雑誌が驚くべき事態を引き起す。

この時、私はまだそれを知らなかった……

数週間後。
私は部屋の整頓をしていた。
ただ整頓をしていてもつまらないので何か音楽をかけよう。
そう言えば、先日友人から借りたCDをまだ聴いていない。
それを流すことにした。
そのCDとは……

――『エアロスミス』

この「エアロスミス」の曲を流し、テンポ良く部屋を片付けていた。

ふと1冊のマンガ雑誌に目がとまった。

「あぁ、コレ、間違えて買ったやつだな……」

そう思いつつ、なにげにパッと雑誌を開いた。
すると、ここで驚くべきことが起きた!

なんとなくパッと開いた、そのページの真ん中あたりに文字が書かれていた。
その文字とは……
なんと!

――『エアロスミス!』

驚愕である!
「エアロスミス」と書かれていたのである!

「おおおっ!マジか!」

たまたま『エアロスミス』の曲を流している最中、たまたま「

雑誌」をパッと開くと『エアロスミス』と書かれていた……

このようなコトが起こる確率は一体いかほどのものなのだろうか……

まさか、このような奇跡的な出来事が起こるとは思ってもみなかった。
それだけに、心底驚かされた。

「なるほど、この日の為に、買ったのだな……」

さらに、同日。
夕方になり美容室へ行った。
スタイリスト氏が目の前に「どうぞ」と何冊か雑誌を置いてくれた。
その中の1冊を手に取り、なにげにパッと開くと……
なんと!

――『エアロスミス』

そうである。
またもや『エアロスミス』である。

ロックバンド『エアロスミス』の特集記事が掲載されていたのである。

「こ、これ……ま、マジかよ……」

さすがに、これには驚きのあまり息を呑んだ。

驚愕にも奇跡の「エアロスミス」三連続。
この日は「エアロスミス」一色となった。

「こ、こんなコトが起きるとは……」

真に驚愕。
しかし、これは紛れもない「事実」である。

この一連の出来事は1冊の「間違えて買ったマンガ雑誌」から始まった。

まさに「驚愕のマンガのような出来事」であった。

それにしても……

――間違えて買った雑誌が奇跡を起こすとは……

まさに「事実は小説よりも奇なり」である。



※この時買った雑誌は「週刊少年ジャンプ」で、「エアロスミス」とは、「ジョジョの奇妙な冒険」の「スタンド」の名前として書かれていました。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み