第43話 床に落ちた封筒の中から ~驚愕のメッセージ~

文字数 1,674文字

偶然の出来事が「進むべき道」を示すことがある。
不思議にも直面している問題に「どう行動すべきか具体的に知らせる出来事」が起きる。
毎回、これには本当に驚かされる。
あの時も、まさにそうであった。

出版社との打ち合わせの時のこと。
私は地方に住んでいる。
東京の出版社の方々との打ち合わせはメールや電話で行われる。

本来は「対面」での打ち合わせの方が良い。

細かい内容からニュアンスまでしっかり伝わり、誤解や理解の行き違いも回避できる。

今回の出版の打ち合わせでも、電話ではどうにも細かいニュアンスが伝わりづらい。

「あぁ、これは対面で打ち合わせた方がイイな……」

しかし、急な話でメンバーのスケジュールが合わない。
編集氏、デザイナー氏、そして私の三人。
全員集まれるとしたら、翌日のみ。
私が東京に行き、しかも夜7時以降に集まるしかない状況だった。

「うむむ、東京に行こうか、どうしようか……」

一応、電話でも打ち合わせは出来る。

ここ最近、京都や名古屋へ行き出費も多い。
今月使える予定の交通費はすでにもう無い。

わずか夜の数時間の為だけに、急いで東京に行くことにためらいを感じた。

そう考えつつ、書類の整理をしていると……

――スーッ

書類の間から、なにやら一枚の封筒が床の上に落ちた。

「何だろう…‥」

手に取り、中を見た。
すると、なんと!

――2万2千円!

封筒の中に2万2千円が入っていた!
東京までの新幹線の往復切符を十分買える額!

おそらく何かを購入した時の余りのお金。
封筒に入れたままになっていたのだろう。

それが、偶然、落ちてきたのである。

「東京に行こうか、交通費どうするか」

と考えていたところに、である。
まさかの驚愕タイミングである。

「マジか……」

これでは、まるで……

――このお金で東京に行きなさい

と言わんばかりではないか。
不思議なこともあるものだ。

「やはり、明日夜、東京へ行った方が良いのだろうか」

いまだ決心つかずにいた。

ところが……

その夜、さらに不思議な出来事が起きた。

深夜0時を過ぎ日付はすでに変わっていた。
ブログをチェックしログアウトすると、エキサイトホーム画面が表示される。
その画面を、ふと見ると……

――おひつじ座1位99点

そうである。私はおひつじ座である。
占いには興味が無く、通常、占いは見ない。
ところが、この時はと言うと……

「何が99点だよ。俺はいつだって100点満点だぜぇ」

と、ふざけてクリックしてしまった。

しかし、これが次なる驚愕の偶然の一致を巻き起こした。

軽い気持ちでクリックすると、占い画面が表示された。
するとそこには驚くべきことが書かれていた。
なんと!

――「今日はお金をかけてしまっても大丈夫」

なんというタイミングだろうか!

封筒に入っていたお金を交通費として使うことに躊躇していた時に、この言葉!



「ま、マジかよ……」

これでは、まるで……

――「そのお金を使っても大丈夫。東京へ行け」

と言わんばかりである。

ここまで「具体的な行動を促す」かのような偶然の一致が起きるとは驚きである!

「まさか、このようなコトが起きるとは……」

本当に心底驚かされた。

東京に行こうか考えていると、偶然、床に落ちた封筒から2万2千円。
さらに、そのお金を使うことに躊躇していると、偶然クリックした画面に「今日はお金をかけてしまっても大丈夫」と表示された。

――なんという驚愕の偶然だろうか……

さすがにこれには従ってみようという気持ちになった。
この一連の偶然の出来事から東京へ行くことに決めた。

この日、東京へと向かった。

対面での打ち合わせで細かいニュアンスもしっかり伝わった。
打ち合わせの結果も上々、東京行きは正解だった。

実際、打ち合わせをして、これは対面でないと出来ない内容だったと判った。

「なるほど、だから東京へ行けと……」

東京へ行け、と言わんばかりの不思議な出来事が起きたことにも、妙に納得がいった。
やはり偶然の出来事が「進むべき道」を示してくれていたのだろう。
ふと、そんなことが思い浮かんだ。

それにしても……

――偶然落ちた封筒に東京行き資金とは……

まさに「事実は小説よりも奇なり」である。



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