第44話 驚くべき直感の恩恵   ~未来のピンチを回避~

文字数 1,296文字

行動には二種類ある。
「頭で考えて動く」と「心で感じて動く」の二種類である。
頭で考えたことを「思考」、心で感じたことを「直観」。
勿論、どちらも必要だが、時として「直感」は、驚愕な「恩恵」に辿り着くことがある。
あの時も、まさにそうだった。

出版社から仕事の依頼が来た時のこと。
仕事の打ち合わせは、通常、最初の1回目は「対面」で行う。
私は地方に暮らしている為、出版社の編集氏が東京から訪ねて来てくださる。
その際、私の方から待ち合わせ駅をお伝えする。
仕事の打ち合わせには、いつも最寄りのA駅を使っている。

当然、今回の打ち合わせもA駅を使うつもりである。

――ところが……

なぜか、どうにも「A駅はやめた方が良い」気がする。
考えてみても、理由はとくに無い。
それなのに「やめた方が良い」と感じる。

A駅は「くだり」だが、そこを使わないとなると……

――『B駅』

代案は反対方向の「のぼり」のB駅となる。

しかし、今までは普通にA駅を使っていた。
理由もなくB駅に変更するのも抵抗がある。

頭で考えると、A駅で良いと思う。
心の感覚だと、B駅にすべきと感じる。

頭で考えることと、心で感じることで、意見が真っ二つに分かれた。

「さて、どうしようか……」

どうして、急にB駅に変えた方が良いと感じているのか、頭で考えても全く分からない。

しかし、通常通りA駅にしようとすると、心がモヤモヤする。
とても落ち着かない気持ちになり、違和感しかない。

「うむむ、これはB駅にするか……」

私は「思考」ではなく、「直感」に従うことにした。
迷った末、待ち合わせ場所を、直前で「B駅」に決めた。

編集氏に「B駅でお願い致します」と連絡を入れた。

そして、この選択が……

――驚愕の偶然の一致を起こすことに……

打ち合わせ当日。
自宅近くの最寄り駅に向かった。
この駅から列車に乗り、待ち合わせ場所であるB駅まで行く。

ところが、駅に着くとトンデモナイ事態が発生していた。

――あぁ!なるほどぉ!

「それで、B駅に変更したのか!」

B駅に変更した理由が、ここで判明した。
それは……なんと!

――A駅行きの列車が不通となっていた!

驚愕である!
どうやら何かのトラブルが発生したらしい!
A駅方面の列車が運行停止となっていたのである!

これには心底驚かされた。

あぶない、あぶない……
いつも通りA駅にしていたら、待ち合わせ場所に行けなかった。

一方、B駅へ向かう列車は、通常通りに運行されていた。

東京~B駅間も問題なく運行されている。
これなら編集氏も大丈夫。

「あぁ、よかった!」

迷った末「直感」に従い、直前にB駅に変更した。
そのお陰で、無事、打ち合わせが出来たのである。

この出来事には本当に助けられた。

これは、まるで……

――当日、列車が止まることを「直観」は知っていた……

かのような出来事である。

「直観」には未来を見通す力でもあるのだろうか……

勿論、頭でしっかり「思考」することも大切であろう。
しかし、時として「直観」は「思考」の枠を超えた「恩恵」をもたらしてくれることを、この出来事は教えてくれた。

それにしても……

――直感が未来を救ってくれたとは……

まさに「事実は小説よりも奇なり」である。


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