第47話 ふと頭に浮かぶことは大切な合図 ~未来を知らせるメッセージ~

文字数 1,281文字

心がモヤモヤする時。
心の声に耳を傾けて、ふと頭に浮かんだコトを実行してみる。
すると、ちょっと面白い偶然の一致を体験することが多い。
あの時も、まさにそうであった。

驚くべき体験をした。

数年前のこと。
その日、部屋に籠り、今度、出版する本の原稿を書いていた。
原稿を書く時、一種の「ノリ」のようなモノがある。
「ノリ」に乗って執筆していると、ペンがスラスラと進む。
私は「ノリ」に乗って、好調に文章を書いていた。

ところが……

――なぜか急に心がモヤモヤし始めた

「え?今、調子よく書いているのだが……」

普段であれば、作業の手をとめ、心の声に耳を傾ける。
しかし、今は「ノリ」良く文章を書いているので、このまま書き続けたい。

そこで、心のモヤモヤを無視して、書き続けることにした。

――ん?

すると、さらにモヤモヤが大きくなった。
さすがに、これでは集中できない。

「あぁ、仕方がない……」

やむを得ず、執筆を中断して、心の声に耳を傾けてみた。
すると、心の声は……

――外に出てごらん

と言っているような気がした。

その言葉が、ふと頭に浮かぶのである。

しかし、全く意味が判らない。
せっかく調子よく執筆していたのに、どうして外へなど出ないといけないのだろうか。

「あぁ、もう、しゃーないなぁ……」

心の声に従い、ブーツを履き、外へ出て周囲を見渡した。

――別段、何もない……

なんとなく、表通りまで歩いてみた。

「一体、何があると言うのか……」

すると……

左方から赤色のクルマが走ってきた。
丁度、信号待ちで、私の真正面でピタリと停車した。

赤色のハッチバックのクルマである。

運手席には見知らぬ人物が座り、ハンドルを握っている。
助手席には誰が座っているのか、私の位置から見えない。

「まさかな……」

そう思いつつも、助手席も一応確認してみることにした。
身をかがめて、そのクルマの助手席側を覗き込んでみた。

すると、そこには……なんと!

――親友がいた!

「ま、マジかぁ……」

何を隠そう、広沢昭利(仮名)、親友である。

なんとも、親友がそのクルマに乗っていたのである!

「よう!」

お互い手を上げ、挨拶をした。
内心、私は心底、驚いていた。

「まさか、こんなことが起こるとは……」

執筆中に心がモヤモヤし始め、心の声に耳を傾けてみた。
「外へ出てごらん」と言っている気がして、外へ出た。
そこへクルマが来て、私の真正面にピタリと停まった。
そのクルマに親友が乗っていたのである。

驚愕。

これでは、まるで心のモヤモヤが、

――親友が近くを通るコトを知らせてくれた

かのようではないか……

驚きである。
心がモヤモヤし、ふと頭に浮かぶことを実行した。
ただ、それだけである。
たったそれだけのことで、このような驚くべき偶然の一致に遭遇することが出来た。

「心のモヤモヤ」
「ふと頭に浮かぶこと」

じつは、これらは大切なメッセージを伝える合図なのかも知れない……
ふと、そんなことが思い浮かんだ。

それにしても……

――モヤモヤに親友が通ることを知らされるとは……

まさに「事実は小説よりも奇なり」である。



※親友「広沢昭利氏(仮名)」は次回作の『旅行記エッセイ集』にも再び登場します。

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