第18話 夢が現実となる正夢 ~夢で見た場所の正体~

文字数 1,390文字

正夢とは夢で見た通りのことが現実になること。
正夢に関するとんでもない体験をしたことがある。
それは、まさに不思議な出来事だった。

以前、このような夢を見た。
夢の中で、私は4階建てのビルの高さほどの空中に浮いていた。
そこは何処か見知らぬ街中で、とても特徴的な場所だった。
路地裏に続く狭い小道を入っていくと真正面にビルがあり、そのビルには大きな看板がある。
なにやら、かなり目立つ『大きなな派手な看板』である。
しばらく、その場所を上空から眺めていると、その小道に誰かが入ってきた。

――えええっ!

驚いたことに、よくよく見ると、それは「私」であった。
私は空中に浮かび、そこから「もう一人の自分」が歩いている姿を見ているのである。

「あそこで俺は何しているのだ?……」

地上にいる自分が、なにやら路地裏の角にある建物の中の様子をうかがっている。
とても真剣に……

――その様子たるや真剣そのもの!

どうやら建物の中が、よほど気になっているようである。
一体、何がそんなに気になっているのだろうか……

――ハッ……夢か……

そこで目が覚めた。なんだか妙な夢だった。
やたらリアルで現実のような夢だった。

それにしても、一体、何を真剣に見ていたのだろうか…‥

あの建物の中には何があるのだろうか。

あの真剣な様子からして、よほど『重要な何か』に違いない。
しばらくの間、私は夢で見たその場所が気になっていた。

そして、それから数年後のこと……

私は博多の街を歩いていた。
福岡に長期滞在していた私は天神周辺の街がとても気に入り、楽しく街を散策していた。
この日は、キャナルシティ博多なる大型商業施設に向かっていた。

ところが、ふと脇道を見ると、面白そうな小道がある…‥

「行ってみるか」

私は路地裏に続く小道に足を踏み入れた。
真正面のビルの『大きな派手な看板』が目に飛び込んできた。

「あれ?どこかで、見たような場所だな…‥」

初めて来た場所のはずだが、なぜかどこかで見たような気がする。

――気のせいだろうか……

小道の奥の角には、一軒のラーメン店があった。
そういえば、まだ昼を食べていない。
丁度、お腹も空いてきた。ここらで昼食にするのもよかろう。
せっかく九州にいるからには、美味しい博多ラーメンが食べたい。

「うむ、この店のラーメンは美味しいのだろうか……」

私は窓の外から店内を、真剣にうかがってみた……その時!

――あああっ!このシーンは!

その瞬間、すべての記憶が蘇った!
そうである!
これは数年前に見た夢と全く同じ光景!

「夢で見たこと」と全く同じことを、「今、自分がしている」ことに気がついた!

なんと!

――夢で見た場所が実在していたのである!

驚愕である!

さらには、夢の中で「あそこで俺は何しているのだ?」と疑問に思った、あの真剣な行動は……
なんと!

――「美味しいラーメン店かどうか、真剣に店内をうかがっていた」のであった!

って、そんなことだったのかよ!
驚きつつも、思わず、自分にツッコミを入れてしまった。

一体、何をそんなに真剣に建物の中を見ているのだろうかと思いきや…‥

まさか「美味しいラーメン店かどうか」だったとは……

正直、そこにも驚かされた。
あの場所に「よほど重要な何かがある」と思っていただけにズッコケたが、ある意味、とても私らしい行動であった。



それにしても……

――夢で見た場所が実在していたとは……

まさに「事実は小説よりも奇なり」である。



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