その①
文字数 1,701文字
「…………なるほど、わかりました」
公園へ続く道で、オフィユカスたちは斿倭と蓬莱たちを見かけた。爆発音や地響きがしているので何かと思えば、重要なことが起きていたのである。
「すっごい重傷だわ……。でも大丈夫、すぐに治せるわ!」
ヴィルゴに傷を癒してもらう蓬莱。この感じは二度目である。
「心の傷までは、治せないのか」
友情や絆のためとはいえ、自分を信じてくれていたディストピアを裏切ったことには変わりない。罪悪感が残っていたが、それが消えないのである。
「私の神通力でいじれるのは、外傷だけだわ」
ハッキリそう言い切るヴィルゴ。
「ですので、今回救出できた『夜空の黄道』の仲間は、しばらく休ませないといけません。今回の件で、心も疲弊しているようですから。それと……」
チラッと目を斿倭たちの方から逸らす。
「ニライカナイとか言いましたか? あなたには聞きたいことが山ほどあります」
「別にいいよ…。ただし、知っていることしか答えないぞ…?」
手を後ろで拘束されているニライカナイには、もう抵抗する意思がない。
「とりあえず、今日は疲れた……。後日改めて、な?」
願平が言うと正義もそれに賛成する。今日は『夜空の黄道』と蓬莱を救い出し、さらに斿倭も元通りとなった。それだけ費やした労力も多いのだ。
「スコーピオ、気を失う程度の毒をニライカナイに与えてください。殺してはいけませんよ? 私たちの拠点に戻りましょう」
「はーい! そぉれ!」
頬を叩いただけで毒が伝わり、ニライカナイの首が垂れる。
「では、これにて」
『夜空の黄道』たちは先に帰った。
「じゃあ僕たちも戻るよ。僕は潤一郎に今日のことを報告しないといけないからね。願平も手伝ってね?」
「ああ」
正義と願平はまず学校に戻る。
「斿倭……」
二人残された斿倭と蓬莱。先に蓬莱の方から切り出す。
「あの時は、すまなかった…。私はディストピアの前では、ああする以外には…」
深く頭を下げて謝る蓬莱。これに対して斿倭は、
「いいじゃないか、過ぎたことなんだしよ!」
気にしない方針のようだ。
「だが……」
「誰だって道ぐらい、一度や二度は間違えるさ。それに俺は、お前のことを信じてたんだぜ? あの時は石にされても、きっと解いてくれる時が来るって! 実際に今日がそうだったんだ。俺が信じた結果、こうなったんだから俺も文句はないぜ? 蓬莱も俺のことを信じてくれてるんだろう?」
「そうだ…。信じたから、あの時言う通りにしたんだ……」
「なら、いいじゃないか、それで!」
それ以上追求しない斿倭。だから蓬莱も無理に頭を下げることをやめた。
「俺たちの絆はそう簡単に崩れやしないぜ!」
同じ頃、とある廃墟ホテルにて。
「探したんだが、アヴァロンの死骸だけあったので、近くの河川敷に埋葬した。ディストピアやニライカナイ、ホウライがどうなったのかは不明だ」
エルドラードが公園に駆け付けた際には、既に戦闘は終わっていた。痕跡だけが残されたその場所からは、誰と誰が争っていたかまではわからなかった。
「そうか。となるとやられた、か……」
ため息をこぼしながら返事をしたのは、ベンサレム。
「エルドラード、オマエは本隊に戻れ。もうディストピアも行方不明じゃ、分隊の意味がない」
「了解。でも、リーダーは何を言うか……」
「気にする必要はない。ワタシたちはアルカディアにつけばいいだけのこと! 水蠆池高校に『夜空の黄道』を潰すのなんて、簡単だろう?」
「それはわかっている。でも、肝心のアルカディアは……?」
拠点にその姿がないのでエルドラードは聞いた。
「よく知らないが、大事な任務にでも向かったんだろう。帰って来るまで待とうじゃないか。こういうことわざがある……『果報は寝て待て』。今回はご苦労さん、少し休め…」
その言葉に甘え、エルドラードはベッドで寝た。その横でベンサレムは、
「……成功するといいが、はたして…?」
表情を崩し、心配していた。
公園へ続く道で、オフィユカスたちは斿倭と蓬莱たちを見かけた。爆発音や地響きがしているので何かと思えば、重要なことが起きていたのである。
「すっごい重傷だわ……。でも大丈夫、すぐに治せるわ!」
ヴィルゴに傷を癒してもらう蓬莱。この感じは二度目である。
「心の傷までは、治せないのか」
友情や絆のためとはいえ、自分を信じてくれていたディストピアを裏切ったことには変わりない。罪悪感が残っていたが、それが消えないのである。
「私の神通力でいじれるのは、外傷だけだわ」
ハッキリそう言い切るヴィルゴ。
「ですので、今回救出できた『夜空の黄道』の仲間は、しばらく休ませないといけません。今回の件で、心も疲弊しているようですから。それと……」
チラッと目を斿倭たちの方から逸らす。
「ニライカナイとか言いましたか? あなたには聞きたいことが山ほどあります」
「別にいいよ…。ただし、知っていることしか答えないぞ…?」
手を後ろで拘束されているニライカナイには、もう抵抗する意思がない。
「とりあえず、今日は疲れた……。後日改めて、な?」
願平が言うと正義もそれに賛成する。今日は『夜空の黄道』と蓬莱を救い出し、さらに斿倭も元通りとなった。それだけ費やした労力も多いのだ。
「スコーピオ、気を失う程度の毒をニライカナイに与えてください。殺してはいけませんよ? 私たちの拠点に戻りましょう」
「はーい! そぉれ!」
頬を叩いただけで毒が伝わり、ニライカナイの首が垂れる。
「では、これにて」
『夜空の黄道』たちは先に帰った。
「じゃあ僕たちも戻るよ。僕は潤一郎に今日のことを報告しないといけないからね。願平も手伝ってね?」
「ああ」
正義と願平はまず学校に戻る。
「斿倭……」
二人残された斿倭と蓬莱。先に蓬莱の方から切り出す。
「あの時は、すまなかった…。私はディストピアの前では、ああする以外には…」
深く頭を下げて謝る蓬莱。これに対して斿倭は、
「いいじゃないか、過ぎたことなんだしよ!」
気にしない方針のようだ。
「だが……」
「誰だって道ぐらい、一度や二度は間違えるさ。それに俺は、お前のことを信じてたんだぜ? あの時は石にされても、きっと解いてくれる時が来るって! 実際に今日がそうだったんだ。俺が信じた結果、こうなったんだから俺も文句はないぜ? 蓬莱も俺のことを信じてくれてるんだろう?」
「そうだ…。信じたから、あの時言う通りにしたんだ……」
「なら、いいじゃないか、それで!」
それ以上追求しない斿倭。だから蓬莱も無理に頭を下げることをやめた。
「俺たちの絆はそう簡単に崩れやしないぜ!」
同じ頃、とある廃墟ホテルにて。
「探したんだが、アヴァロンの死骸だけあったので、近くの河川敷に埋葬した。ディストピアやニライカナイ、ホウライがどうなったのかは不明だ」
エルドラードが公園に駆け付けた際には、既に戦闘は終わっていた。痕跡だけが残されたその場所からは、誰と誰が争っていたかまではわからなかった。
「そうか。となるとやられた、か……」
ため息をこぼしながら返事をしたのは、ベンサレム。
「エルドラード、オマエは本隊に戻れ。もうディストピアも行方不明じゃ、分隊の意味がない」
「了解。でも、リーダーは何を言うか……」
「気にする必要はない。ワタシたちはアルカディアにつけばいいだけのこと! 水蠆池高校に『夜空の黄道』を潰すのなんて、簡単だろう?」
「それはわかっている。でも、肝心のアルカディアは……?」
拠点にその姿がないのでエルドラードは聞いた。
「よく知らないが、大事な任務にでも向かったんだろう。帰って来るまで待とうじゃないか。こういうことわざがある……『果報は寝て待て』。今回はご苦労さん、少し休め…」
その言葉に甘え、エルドラードはベッドで寝た。その横でベンサレムは、
「……成功するといいが、はたして…?」
表情を崩し、心配していた。