3-19 駄菓子

文字数 834文字

妻が始めた「パンとお菓子の店 ロッキー」は、食パンのオーダーカットが売りの店。食パンも3グレードあり、その日のお好みで選んでもらえる。 1本3斤のパンをお好みの厚さにカットして販売する。

薄切りなら12枚切りまでできる。厚切りが好みの方は、3枚切り、中には2枚切りにしてくれというお客さんもあった。パン店なので朝は早く、7時開店。お客さんの都合でそれより前に開店することもしばしばだった。

店にはおせんべいやポテチなどの袋菓子やクッキー、アイスやジュースも置いてあるのだが、この店のもう一つの売りは、駄菓子である。

錦糸町にあった菓子問屋のタジマヤとその周辺の菓子問屋街に、月に2度ほど仕入れに行く。ここでは私の少年期に祖母の駄菓子屋を手伝っていたころの知識が役に立つのだ。

こんな駄菓子をご存じだろうか。

ひもの先にイチゴの形の飴が付いている、コトブキ屋のつり飴
中に白い大豆が入っていると当たりの、植田のあんこ玉
つまようじで一つづつ食べる、さくらんぼ餅
凍らせてもおいしい、 みなつねのあんず棒
スナック菓子は、 大和製菓の味カレーや餅太郎
カップ麺は、ブタメン、ベビースター
最大100円の当たりがでる、リリーの突き出し野球盤ガム、 
10円で買える、マルカワのフィリックスガム、オレンジガム、チロルチョコ
ソースせんべいに付けて食べる、梅ジャム
くじを引いて番号を見る当てものは、鈴やスーパーボールが人気

戦後の駄菓子が増えているが戦前からあるものもあり、どれを仕入れるか商品の目利きをする時には、私も少年時代に還ることができるのだ。

パン屋でこれだけの駄菓子の品揃えのある店は珍しいので、近所の子供連れが多く来店してくれたのだった。

妻のつながりで、小学校や子供会に納品するためにお菓子の詰め合わせを何十個も作る時などは、前日には家族総出で袋詰めを行った。手伝っている子供たちも楽しそう。
妻の店のおかげで家族が幸せな時期だった。
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登場人物紹介

時は昭和の始め。

貧乏ではあるが東京の下町で活き活きと生きている少年がいた。

名前はのぼると言う。

のぼるが駆け抜けた昭和という時代とはどんなものだったのだろうか。 

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