2-19 青春(その2)

文字数 507文字

次にYチェイン時代の恋愛のエピソードを語ろうと思う。

S鉄工所からYチェインに私が転職する頃には、花ちゃんは別の会社に移ってしまい、住んでいた亀戸5丁目からも引越して行き、2人の関係は静かに幕が降りた。

Yチェインの女子工員さん達にはそれぞれペアーがおり、特に興味も無かった私は新しい仕事を覚えることに懸命であった。

そのうちに1、2年が過ぎていった。

その間に彼女たちの方に変化が出始め、俺に近づいてくる娘も出てきた。

それまでのペアーの事は知らないから、「据膳食わぬは・・」と、今までのような良からぬ虫が頭を持ち上げてきたのである。男盛りの年齢である。同僚を誘っては、あちこちの盆踊り荒らし等していた。朝子、君子の二人は常にそばにいた。

亀戸に住んでいた頃に二人一緒に夜中に家に来られ、
「どっちかに決めて」 と、迫られた。

夜中に何事かと、祖父にはこっぴどく怒られたのだった。

二人共気立てのよい娘であったが、結局、今の女房に決めるのだから、20歳そこそこの頃の遊び心の恋愛ゴッコだったのだろう。

Yチェインにいた4年間は、私の中の最も青春らしい4年間だったと思えるのである。
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登場人物紹介

時は昭和の始め。

貧乏ではあるが東京の下町で活き活きと生きている少年がいた。

名前はのぼると言う。

のぼるが駆け抜けた昭和という時代とはどんなものだったのだろうか。 

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