2-5 シミキン一座

文字数 448文字

浅草六区のところでも話したが、シミキン(清水金一)を座長とする軽演劇が、一世を風靡した時があった。

特に昭和17年頃に新生喜劇座となった頃はスゴカッタ。

メインの金龍舘の回りには長い行列が出来、公演を見るために1回待ちは当り前だった。

日米戦争の真っ只中であるが人々はほんとうはこうしたバラエティに飢えていたのだろう。まるで現実を忘れたいかのように舘内は熱気に満ちていた。舞台を跳ね回るシミキン・堺に、我を忘れて一緒に騒いだものだった。

昭和18年頃から、別の劇団(ターキー・森信・金語楼)が出きてからは、スターの引き抜きが頻繁になる。その上、シミキンが映画に出る様になったこともあり、浅草界隈も段々と静かになっていった。

私はその頃に松竹歌劇団の一人の踊り子が好きになり、住んでいたアパートの前まで追っかけをしたこともあった。帰りが遅くなって寮の門限に間に合わず、寮長にビンタをくらったのもこの頃であった。

浅草が浅草だった時代。ひょうたん池にチンピラが良く似合った時代でもあった。
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登場人物紹介

時は昭和の始め。

貧乏ではあるが東京の下町で活き活きと生きている少年がいた。

名前はのぼると言う。

のぼるが駆け抜けた昭和という時代とはどんなものだったのだろうか。 

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