3-13 おっぱい

文字数 387文字

とにかく二人目の男の子は無事に生まれ、予定通り決まっていた名前になった。

この子は妻の良く出る乳を貰って、元気に成長して行く筈であったが、妻は生死をさまよい入院している。この子も長男と同じ様に母の乳を知らずに育つことになるのである。

長男は母のおっぱいを飲んでいたが、しばらくすると生まれた時よりも体重が減ってきた。

さすがに心配になり、近所の人に相談して保健所で母乳の検査をしてもらった。その結果、母乳の栄養が不足している事が分かった。それからはミルクを飲ませるようになり、それからは太り出してきた。

はじめは慣れないのか、長男が哺乳ビンに口をつけてくれずに泣くばかりなので、二人で夜通し手こずったものだった。

次男は妻が入院している2ヶ月の間、妻の上の兄の奥さんがその前の年に女の子を出産していたので、従姉のあまりのおっぱいをもらって育ったのである。
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登場人物紹介

時は昭和の始め。

貧乏ではあるが東京の下町で活き活きと生きている少年がいた。

名前はのぼると言う。

のぼるが駆け抜けた昭和という時代とはどんなものだったのだろうか。 

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