3-14 次男3度の命拾い(その1)

文字数 594文字

さて、これは次男の話である。

長男は大した話しはなく育ったのだが、運命のいたずらか、この子は生まれた時から苦労が続いている気がする。

誕生の時の事は別に記したので、ここでは幼児期の事を書いてみたい。

私はその時にはまだ会社勤めだったから、これは仕事から帰ってから聞いたものである。

その日、祖母と妻の2人で夕食の支度をしていた時のことだった。

次男がもうすぐ2歳の時、一人で遊んでいるなと思っている内に、少ししてから後ろで椅子の倒れる音がした。

バターンと音がしたと思ったら続いて、
「ワアッ!」
と次男が大きな泣き声をあげたので2人ともびっくりした。

2人が振り返ると、いつも使っているコップを持って椅子から落ちた次男の姿があった。

割れたコップのかけらが周囲に散らばっており、次男の顔からは血が噴き出していた。

血止めのためにタオルを押し当てながら、抱きかかえて医者に飛んで行って、手当をして貰ったとの話しであった。

幸いにも致命的な場所ではなかったが、目や動脈にあたっていたらと思うとぞっとする。

「大人が2人もそばにいて、何で・・」
と怒った記憶がある。

当時はジュースも粉を水に溶いて作っていた。
次男がつかんだコップは、いつもそれに使っていたコップだったのだ。

その時の顔の傷は今でも残っているが、これは可愛い盛りのときの事である。
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登場人物紹介

時は昭和の始め。

貧乏ではあるが東京の下町で活き活きと生きている少年がいた。

名前はのぼると言う。

のぼるが駆け抜けた昭和という時代とはどんなものだったのだろうか。 

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